地方政府債務返済遅れが6兆円に。
【大紀元日本1月10日】
中国の地方政府の債務返済遅れ状況は深刻化している。最新の統計によると、地方政府債務の返済期限内に返済不能となった金額は約6兆元に上るという。専門家は地方政府の返済能力を疑問視している。国際信用格付会社ムーディーズは昨年、中国地方政府の負債額が中国政府当局の発表値より高く、銀行業の不良債権率はさらに大きいという認識を示した。さらに中国国内の経済学者の郎咸平氏は中国式債務危機はすでに勃発したとの認識を示した。
中国の審計署(会計検査院)の最新の統計資料によると、2010年地方政府債務の検査の結果、返済期限内に返済不能となった金額は5308億元(約6兆4600億円)に上る。また、2011年6月、政府は地方政府の財政収支審査の結果を初めて公表した。それによると、全国の地方政府が抱える債務残高は10.7兆元(約130.2兆円)に上り、GDPの約27%に相当する水準である。GDPの20%を占める中央政府の財務残高より高くなっている。
北京大学で金融学を教えるマイケル・ぺディス教授(Michael Pettis)は、BBCの取材に対し、地方政府による大規模な債務発行は大きな負担となっていることを指摘。貸借手段による景気刺激が実施された当初は、債務返済の能力増強が一時的に現われたが、この能力は次第に弱まり、返済遅れ問題が表面化したと分析している。
審計署の最新統計によれば、返済期限内に返済不能となった金額のうち、地方政府の債務返済のための担保額は464.75億元(約5656.1億円)、地方融資プラットフォーム会社が地方政府の禁じる担保の差し入れにより入手した債務残高が731.53億元(約8902.9億円)、使途未定の債務残高が1319.8億元(約1兆6000億円)、資本市場や不動産市場、高エネルギー消耗、高汚染、生産能力過剰分野など本来の目的用途から外れた債務資金が351億元(約4271億円)、地方融資プラットフォーム会社が虚偽に登録した資本金が2441.5億元(約2兆9713億円)などに内訳される。
フィナンシャル・タイムズ=中国の潜在的債務残高はGDPの70%に達する
英国フィナンシャル・タイムズの報道によれば、2008年の金融危機後、中国は信用貸付を拡大させ、国有銀行に対し、政府が支持したインフラ建設プロジェクトへの融資を強化し、地方政府の債務残高が急速に膨らんた。2009年の1年間で、市場に9.6兆元(116兆円)を投入。景気の低迷を抑制するためであったが、多くの投資項目の実行の可能性や地方政府の債務返済能力は軽視していた。
2009年に急激に増加してきた債務の返済は大きな問題を生じ、同年未の残債務は62%増加。2011年政府の債務発行引き締め対策により、債務発行増幅は19%に留まった。全国の地方政府が抱える債務残高は10.7兆元(約130兆円)であり、米国のサムプライムローン問題前の水準に達している。一部のアナリストの分析によれば、中央政府の債務や銀行不良債権を全て含めれば、中国の潜在的債務残高はGDPの70%に達するといわれている。
郎咸平:中国式債務危機すでに勃発
地方の債務問題について、中国国内の経済専門家、郎咸平氏は「4兆元の景気刺激対策の投資は中国の債務危機を誘発するという私の予測は的中した」とミニブログで書き込んだ。ブルームバーグ19日の報道によると、2012年末に返済期限を迎える債務残高は2.62兆元(約31兆8800億円)に上るという。今のところすでに11の地方省レベル政府が合計301億元(約3663億円)の利息返済の延期を決めた。また、郎咸平氏はミニブログで次のように述べている。「銀監会(銀行監督委員会)は延期返済の細則を作成中だが、一旦細則が実施されれば、米国債務危機、欧州債務危機後、中国式債務危機の勃発を世界に宣言したこととなる」
(翻訳編集・林語凡)