元日にも陛下のご負担軽減策
年末の表参道…東宮大夫「良かった」の理由は?
新年を迎えると一般の会社や官公庁の多くは正月休みとなるが、天皇陛下は元日から1月3日までの連日、今年も行事や祭祀に臨まれた。中でも元日は、皇居を訪問してきたさまざまな立場の人々を相手にした祝賀行事が連続して行われるため、お忙しく過ごされる。宮内庁が発表した元日午前中のご動静は13件、午後は4件に及んだ。
陛下の負担軽減が課題としてクローズアップされる中、陛下が毎年朝5時半から行われる祭祀「四方拝」については、負担を勘案して今年は場所が変更された。また、例年行われている前日の12月31日の「節折の儀」についても、陛下はお出ましを控えられた。
四方拝は、伊勢神宮や四方の神々などを遙拝する(遠くから拝む)もの。陛下は例年、宮中三殿の近くにある神嘉殿に出向いていたが、今年はお住まいの御所の庭で行われた。
元日の午前中には皇族方や元皇族、ご親族の祝賀などに続き、「新年祝賀の儀」が4回に分けて行われ、両陛下が内閣、衆参両院、裁判所、認証官、知事と各配偶者ら計470人から祝賀を受けられた。午後にも外交使節団の長と配偶者を対象に行われた。
新年祝賀の儀は国事行為として行われているもので、皇族方も一緒に臨まれる。昨年20歳になった秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまも、ティアラをつけた姿で初めて並ばれた。
また、宮内庁は1日付で天皇、皇后両陛下、皇太子ご一家、秋篠宮ご一家がそろわれた写真や映像を発表した。昨年に引き続き、皇太子ご夫妻の長女の敬宮愛子さまが、秋篠宮ご夫妻の長女の眞子さまと次女の佳子さまの間でにこやかに話されている場面があったほか、愛子さまと秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまが皇后さまとともに折り紙をされているものもあった。
宮内庁によると、愛子さまが眞子さま、佳子さまと並ばれているシーンは、天皇ご一家でしりとりを楽しまれているところだという。しりとりは悠仁さまからスタートしたそうだが、悠仁さまが何の言葉を話されたかは明らかにならなかった。
2日には新年恒例の一般参賀が皇居・宮殿で行われ、7万770人が訪れた。昨年より約6300人少なかったが、平成3年以降、参賀者数が5万人台や6万人台だった年もあり、過去と比べると平均的な人出だったようだ。
一般参賀では、天皇、皇后両陛下と、皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻をはじめとする皇族方が午前に3回、午後に2回、長和殿のベランダに立ち、東庭に集まった参賀者に手を振られた。眞子さまも昨年12月の天皇誕生日の一般参賀に続き、新年の一般参賀に初めて臨まれた。
午前10時すぎからの初回には、常陸宮妃華子さま、三笠宮ご夫妻、寛仁親王殿下の長女の彬子さま、高円宮妃久子さまと長女の承子さま、次女の典子さま、三女の絢子さまも並び、この日最多の15人が手を振られた。
出席予定だった常陸宮さまは風邪のためお出ましを控えられた。入院中の寛仁さまも出席するため年末に一時退院していたが、直前の体調を勘案し、大事を取って取りやめられた。
陛下はすべての回でお言葉を述べられた。昨年、東日本大震災や豪雨などの災害が相次いだことに触れ「心の痛むことの多い年でした」とした上で、「被災した人々が、いまなお厳しい状態に置かれていることを案じていますが、被災地の復興が進み、この年が国民一人びとりにとり、少しでも良い年となるよう願っています」とあいさつされた。
さて、宮内庁は例年、新年一般参賀で並ばれる女性皇族方のお長服と呼ばれるドレスの色を発表する。色の表現の仕方は優雅で、いかにも「宮内庁流」だ。今年の色を紹介したい。
皇后さま(象牙色)▽雅子さま(アイボリー)▽秋篠宮妃紀子さま(薄曙色)▽眞子さま(さくら色)▽華子さま(グリーン色)▽三笠宮妃百合子さま(あずき色)▽彬子さま(若草色)▽久子さま(明るい紺色)▽承子さま(ブルーグリーン色)▽典子さま(サーモンピンク色)▽絢子さま(濃いピンク色)
宮内庁は2日、皇后さまが同日早朝の散策で右足首を捻挫されたと発表した。皇后さまはこの日、一般参賀で5回ともベランダに立たれたが、その後、侍医が診察した結果、右足首が腫れていたという。痛みを我慢しながら手を振られていたのかもしれない。
翌3日、皇居・宮中三殿で元始祭の儀が行われたが、皇后さまは欠席された。宮中祭祀で皇后さまは正座の姿勢をされるため、患部が悪化しないよう、侍医らが皇后さまに取りやめるようお願いしたという。元始祭の儀では、陛下、皇太子さま、秋篠宮ご夫妻と眞子さま、華子さま、彬子さま、久子さま、承子さま、典子さまが拝礼された。
宮内庁の風岡典之次長は4日の定例記者会見で、宮内庁御用掛を務める前東宮大夫の野村一成氏の任期が昨年12月末日から今年3月末日まで更新されたことについての質問に、「両殿下(皇太子ご夫妻)とご相談をして、引き続き色々なご相談業務に預かるということで、最終的にきりのいい年度末までの期間で更新をした」と説明した。
また、宮内庁東宮職の小町恭士東宮大夫は6日の定例会見で、皇太子ご一家が年末に車の中から、町を照明で彩るイルミネーションの催しを見物されたことを明かすとともに、「人々の様子をご覧になるのも大切と思うので、そういう観点から良かったと思う」とする考えを示した。
宮内庁関係者によると、ご一家は12月29日夜、私的な外出の帰りに都内の表参道を訪問されたという。
愛子さまの冬休みの過ごされ方については「東宮御所の内外で、お友達と過ごされることもあった」と説明した。
各宮家は今週もさまざまな公務を果たされた。
秋篠宮さまは12月31日、皇居・宮中三殿近くにある神嘉殿前庭で宮中祭祀「大祓の儀」に臨まれた。1月5日、山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)で、所員会議(仕事始め)に出席された。
秋篠宮ご夫妻と眞子さまは6日、宮邸で宮内庁の長官、参与、御用掛と懇談された。
寛仁親王殿下は5日、66歳の誕生日を迎えられた。
久子さまは元日、国立霞ヶ丘競技場(東京都新宿区)で、第91回天皇杯全日本サッカー選手権大会の決勝戦を観戦された。6日、原美術館(東京都品川区)で、ジャン=ミシェル オトニエル:マイウェイ展のオープニングレセプションに臨席された。