あけまして、おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
私の初仕事は、例年通り、4日午前3時から、地元・下関(山口県)の南風泊(はえどまり)市場での「ふくの初セリ」に立ち会うことから始まった。下関では「福に通じる」として、ふぐではなく、ふくと呼んでいる。
身を切るような寒さの中で、関係者の方々と新年のごあいさつを交わすことが、私にとっては「よし、今年も頑張ろう」という気持ちにさせてくれる。
正月三が日は、普段は時間が取りにくい読書に没頭できた。津本陽氏の「下天は夢か」を読み返した。織田信長は何度も歴史小説で取り上げられているが、津本氏の信長もやはり魅力的だった。スティーブン・キング氏の「アンダー・ザ・ドーム」は長かった。
さて、2012年は、世界の大国の指導者が交代する「変化の年」だ。
米国、ロシア、韓国では大統領選挙がある。中国では、胡錦濤国家主席から習近平副主席に交代するとみられており、台湾でも総統選挙がある。昨年末、北朝鮮の金正日総書記が死去し、三男の正恩氏が後継者と位置付けられている。東アジアに関係する国々で元首が交代するわけだが、日本もこうした影響を受けることになる。
ヤマ場となるのは12年度予算が成立した後の4月ごろか。野田佳彦首相が提出を公言している消費税増税法案が大議論になるのは間違いない。
民主党の09年衆院選マニフェストには「増税をせず、税金のムダ遣いをなくすことで政策の財源を捻出する」とあった。野田首相や安住淳財務相も新聞社のアンケートに「消費税増税反対」と答えていた。政権獲得後に、現実を知ることはあり得る。ただ、これだけ大きな政策転換をする以上、改めて国民の信を問うのは当然ではないか。
自民党も10年参院選マニフェストで「消費税10%」を掲げている。ただ、同時に、早期のデフレ脱却と景気回復に向けて、「3年間であらゆる政策を総動員し、名目4%成長を目指す」としている。
増税にはタイミングが重要であり、デフレ期に「デフレ促進策(=インフレ抑制策)」である増税を断行すれば、日本のデフレギャップ(需給ギャップ)は拡大し、税収増は見込めないどころか、日本経済をさらに萎縮させる。
経済は生き物である。デフレ期には「正しいデフレ対策」を打ち、名目GDPが健全な水準を超えてから増税すべきなのだ。野田政権が進めようとしている「税と社会保障の一体改革」は、現状を無視した正反対の政策なのだ。
ともかく、12年は日本でも選挙となる可能性が高い。選挙の目的は、民主党政権でボロボロとなった「日本の再生」である。
(自民党衆院議員)