テロ組織まだ生きている。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 









【主張】平田容疑者逮捕





 警視庁は元日早朝、逮捕監禁致死容疑などで特別手配されていたオウム真理教元幹部、平田信容疑者を逮捕した。逃亡期間は実に16年10カ月に及んだ。

 平田容疑者は逮捕時、約10万円を所持していた。潜伏先については「人に迷惑がかかる」と口をつぐんでいる。

 これが何を意味するか。平田容疑者の逃亡を長期間にわたって手助けした支援者や、団体の存在があったということだ。オウムの後継団体、「アレフ」や「ひかりの輪」への監視を強め、逃亡の経緯を徹底的に解明してほしい。

 無差別に殺人行為を繰り返したテロ集団は、いまも生きていると認識すべきだ。

 平田容疑者は、女性信者の兄である目黒公証役場事務長を拉致して死亡させた事件と、宗教学者の元自宅マンションを爆破した事件で手配されていた。

 16年余の逃亡生活は、住居、資金面などを個人で支えきるのは困難だ。凶悪事件で手配されていることを承知で支援を続けた組織があったとみる方が自然だ。

 逃亡を支援した者には、犯人隠避罪などが適用される可能性もある。平田容疑者の逃亡経緯の捜査は、地下鉄サリン事件などに関与したとして特別手配されている高橋克也、菊地直子両容疑者の逮捕にも結びつくはずだ。

 昨年12月、「アレフ」が団体規制法の観察処分について、公安審査会による更新決定の取り消しを求めた訴訟で、東京地裁は「収益事業の報告義務」について違法として取り消した。

 一方で、更新自体は適法とする理由では「無差別大量殺人の実行に関連する危険な要素が認められる」としている。国は、一部違法とした判決を不服として控訴した。当然だ。危険と認める団体の監視を緩めてはならない。

 平田容疑者は大みそかの深夜、警視庁本部に赴いて門前払いをくらい、丸の内署に出頭した。これ以前に教団特別手配容疑者の情報提供を求めるフリーダイヤルに約10回も電話したが、いずれも話し中でつながらなかったという。

 全国の交番には平田容疑者らの情報を求めるポスターが張られていた。警視庁の対応は、あまりにお粗末だったといえる。

 テロ集団と対峙(たいじ)しているのだという緊張感を持って、今後の捜査を徹底してほしい。