欠陥問題を見極め選定を。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 










【主張】次期主力戦闘機





政府が近く安全保障会議で航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)に決定しようとしている米ロッキード・マーチン社製最新鋭戦闘機F35の欠陥が表面化している。

 米国防総省高官が指摘した欠陥には「隔壁に亀裂が入る」「空母着艦用の後尾フックが作動しない」など重大なものもある。レビン上院軍事委員長らはパネッタ国防長官に詳細な欠陥の内容と改善費用の説明を求め、国防総省は全体の開発調達計画を遅らせる見通しという。

 米国内でこれだけ問題化しているのに、日本政府は不具合の改善見通しなどをきちんと見極めようとしているのか。

 日本と同様にF35導入を予定していた豪州はすでに早期購入を断念し、共同開発国のカナダも調達に慎重な姿勢に転じた。

 防衛省は、敵のレーダーに捕捉されにくい「ステルス性」などを理由として来年度予算案に4機分の取得経費約500億円を計上し、最終的には約40機を導入したい考えだ。

 中国が高性能の「第5世代」機を開発するなど、東シナ海の海・空軍力のバランスが崩れかねない情勢だ。制空権の喪失という事態を避けるため、空の抑止力強化は当然である。

F35を選定しようというのは、「第5世代」機としての性能に加えて、日米同盟の観点から米軍との間で相互運用性が求められる要因も大きい。

 だが、導入計画は整備費も含めると1兆円規模にのぼる。肝心の米国がF35の開発や配備計画をどうするか明確にしなければ、日本の機種選定の意義も揺らぎかねない。懸念を残したままで、どうして国民の理解が得られるのか。

 本格的な選定作業は9月下旬に始まったばかりだ。この間、一川保夫防衛相は「安全保障は素人」などの発言や資質を問われて参院で問責決議を受けた。

 防衛省は米国で欠陥問題が表面化した後、米政府側に事実関係を照会したとしている。しかし、その重要性を踏まえれば、本来は防衛相自身が訪米するなどして調査に当たるべき問題だ。

 次期主力戦闘機の選定は、日本の空の安全を担う重大事案だ。野田佳彦首相が一川防衛相について「適材適所」などとかばっていることが今回の不適切な対応を結果として招いているといえる。