【主張】生活保護激増
生活保護の受給者増加に歯止めがかからない。平成20年のリーマン・ショックを機に急増し始め、7月に205万人超と戦後の混乱期を上回る過去最多を記録した。
高齢化の進行も要因だが、問題は雇用環境の悪化に伴って、働き盛りの受給者が増えていることだ。働ける人を含む「その他の世帯」は、この2年で1・5倍の約25万世帯に増えた。世界経済の不透明さや東日本大震災の影響で、さらなる悪化の懸念も広がっている。
ひとたび生活保護になると抜け出すのは簡単ではない。親から子へ貧困が続く例も珍しくない。国と地方の負担は3兆円を超え、財政への影響も深刻だ。政府はさらに悪化しないうちに、あらゆる政策手段を講じて雇用創出や就業支援に全力を挙げるべきだ。
生活保護に至る前に生活立て直しを支援することも重要だ。雇用保険に未加入の非正規労働者が、失業直後に生活保護に頼らざるを得ないケースが相次いでいる。
政府は10月から、生活費を支給しながら職業訓練を行う「求職者支援制度」を始めたが、地域別の偏りなど使い勝手の悪さも指摘される。自治体などの意見も踏まえて、さらなる充実が必要だ。
安易に生活保護を利用する風潮が広まっていることも看過できない。20年末の「年越し派遣村」が注目を集め、申請に抵抗感が薄まったことなどが遠因との指摘もある。生活保護に「安住」して、就業の機会があるのに抜けだそうとしない人も少なくない。
生活保護は国民の血税で成り立っている。その目的は自立を支援し、助長することだ。甘えは許されない。本当に必要とする人が利用できる制度であるべきだ。
言語道断なのが、不正受給や受給者を支援するふりをして生活保護費を搾取する「貧困ビジネス」が後を絶たないことだ。公正さを欠けば、制度が根底から揺らぐ。自治体は厳格な支給審査に努め、不正に対しては断固たる対応を取らなければならない。
受給世帯の4割を占める高齢者世帯への対応も必須だ。年金では暮らせず、身寄りもない独り世帯が増えている。高齢者同士が助け合う仕組みの導入が急務だ。
社会構造の変化に適合できるように、生活保護だけでなく年金や医療保険を含めた社会保障制度の一体的な再構築が求められる。
在日シナ・朝鮮人の不正受給も即刻停止すべきだ