【都道府県 伝統の教え】沖縄県
沖縄県名護市役所には毎年、旧暦の元日になると沖縄を代表する郷土の偉人、程順則(てい・じゅんそく)の遺徳をしのび、彼が残した書「六諭(りくゆ)」を拝む習わしが今も続いている。程順則は近世を代表する政治家で名護間切の、今の市長にあたる総地頭(そうじとう)を務めた。72年の生涯で5回中国に留学し、帰国後、漢詩集を出したり、琉球で初めてとなる学校「明倫堂」を設立したり地域に尽力した教育者でもあった。彼の功績や人徳から今も地元では「名護聖人」と呼び、沖縄、とりわけ「名護の誇り」として語り継がれている。
名護市教委では独自に「六諭の心」という冊子や幼稚園児向けの絵本「程順則ものがたり」を作り、程順則の生涯、エピソードを幼少から触れられるようにしている。「六諭」にある「孝順父母(父母に孝行しなさい)」「尊敬長上(目上の人を敬いなさい)」「和睦郷里(村里にうちとけなさい)」「教訓子孫(子孫を教え導きなさい)」「各安生理(各々の生業にあまんじなさい)」「毋作非為(悪いことをしてはならない)」という程の教えは、名護市の小中学校22校で道徳の年間計画に学年別に細かく盛り込まれ、授業の様々な場面に取り入れられている。