再稼働で「暗い冬」回避を。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【主張】原発と節電




トラブルのため先月4日から運転を停止していた九州電力玄海原子力発電所4号機が、再び発電を始めた。経済産業省原子力安全・保安院のお墨付きに加え、地元の同意も得ての再稼働であり、当然の措置である。

 政府は今冬の電力供給が厳しくなる関西電力と九州電力管内に節電を求めたが、電力不足の状況は続く。産業空洞化にも拍車がかかってしまう。野田佳彦政権は政府の責任を自覚し、原発再稼働を主導しなければならない。

 玄海4号機の停止は、誤った手順書にもとづく補修作業が原因だった。原発そのものに損傷を与えたわけではなく、九電は手順書の見直しを含めた再発防止策を講じた。保安院も「おおむね妥当」と判断している。

 玄海原発では、2、3号機の運転再開をめぐって「やらせメール」問題も起こった。その信頼を回復する意味でも、九電は今後、さらに安全に留意して運転を続けるべきだ。

 しかし、4号機も来月には13カ月に1度の定期検査のため再び止まる。国内に54基ある原発のうち、いま稼働しているのは11基だけだ。東京電力福島第1原発事故の影響で、定期検査が済んだ原発も再稼働に至っていない。このままでは来年春にも、全ての原発がストップしてしまう。

 政府は原発による発電比率が5割を超える関電の管内には今冬、前年比10%の節電を求めた。九電にも、節電5%を要請した。さらに、冬場は朝と夕方に2つの電力需要のピークがあるため、午後に集中する夏場より節電が難しいとの指摘もある。

 今冬は何とか乗り切れても、来夏の電力供給の見通しは立っていない。企業や家庭に協力と忍耐を求める節電は、あくまで緊急避難で、抜本対策としては当面、原発が必要なことは明白だ。

 電力不足が長期化した場合、日本経済に及ぼす影響は極めて深刻となる。関東・東北地域はこの夏、工場の週末操業などでかろうじて対応できたが、歴史的な円高も追い打ちをかけている。

 特に輸出企業は急速に収益を悪化させ、工場などの海外移転に歯止めがかからない。日本経済を活性化させ、震災からの復興を成し遂げるためにも、政府はできるだけ早く原発の安全を確認し、再稼働に結びつけてほしい。