第六世代機で真の共同開発を。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








ヴァンダービルト大学 

日米研究協力センター ジェームス・E・アワー





■第六世代機で真の共同開発を

 私が米国防総省で日本問題を担当していた1980年代、日本は次期支援戦闘機F2として米国のF16戦闘機を基にした日米共同開発機を選定した。純粋な共同開発ではなかったが、日米の指導者たちは、それが将来の真の共同開発の手本になることを期待した。

 航空自衛隊は現在、F4、F15、F2の戦闘機計260機を保有している。F4は近い将来、退役する予定で、防衛省は、2016年からF4に代えていく次期主力戦闘機(FX)の選定中だ。

 ◆中露の戦闘機開発急ピッチ

 航空防衛力は急速に進歩している。ロシアは2010年に、第五世代戦闘機と称するT50の初飛行を行っており、15~16年にはそれが日本周辺に配備されるかもしれない。また、中国はこの1月、やはり第五世代戦闘機と伝えられ、17年以降に運用可能になると予想されているJ20の試験飛行を開始しており、別の第五世代戦闘機も開発中だという情報がある。加えて、中国の兵器体系の開発はしばしば想定よりも早く完了する。

 したがって、日本がFXとして第五世代戦闘機を導入するのは理にかなっている。目下、日本は、F35ライトニングII、FA18スーパーホーネット、ユーロファイター・タイフーン(の3機種)を対象に検討しており、それぞれの性能、価格、製造への日本企業の参加の度合いについて評価をしている。そのうえで年内にも決定する見通しだ。

 これらの機種のうちF35ライトニングIIは唯一、本物の第五世代機である。価格は他の機種より高いとはいえ、多機能性やステルス性能により、真に高度な第五世代戦闘機として際立っている。日本は、同じく第五世代機であるF22を獲得しようと努めたが、F22は米空軍用のみに187機製造された後、生産打ち切りとなった。

 F35は性能面でF22とほとんど変わらない。計2400機以上が米空軍、海軍、海兵隊向けに戦闘攻撃機として製造される予定であり、800機はオーストラリア、カナダやその他の諸国が取得するであろう。アジア太平洋地域では日本、韓国、シンガポールが、手に入れることを検討中である。

◆本物の第五世代機を導入せよ

 F35は06年から飛行しており、以来、機体やエンジンなどに幾多の改善が加えられ、その試験も実施されている。さらに、試験飛行と並行して、世界最高の性能のソフトの開発がF22よりもっと高いレベルで続けられてきている。

 海兵隊用のF35Bは、技術的な問題に直面し開発に遅れが生じたものの、空軍、海軍用のF35ACの開発は順調に進んでいる。日本がF35の選定を決めた場合、開発段階の試験飛行は16年初期には終了しており、そのため、同年内の取得は容易に達成可能である。

 ある米国筋によれば、F35が9カ国により共同開発されたとしても、日本の主たる請負企業は、機体とエンジンを組み立てて、主要部品を製造し、重要な整備を行う利点を手にすることができる。

 日本は、戦闘機の生産や技術的な基盤を民間企業に大きく依存しているから、そうした生産技術の基盤を拡大することは国益にもかなう。性能や価格だけでなく、製造企業の参加程度が、選定の際の評価で重要な要因と見なされる理由のひとつは、この点にある。

 FA18やユーロファイターも、すばらしい性能を有する航空機であり、F35より値が張らないし、高度な企業参加も許容している。しかしながら、これらは、完全な第五世代機ではないのである。

◆日米の相互運用性を確保

 日本の周辺諸国による戦闘機の開発状況をよくみれば、FXは、性能面でそれらに優る力を持っていることが求められ、価格や産業上の参加程度にのみ基づいて選択されるべきではないのである。同時に、在日米空軍にはF22とF35の両方、あるいはそのいずれか一方を配備するという将来計画があり、日本のF35は、同盟相手国との間に、可能な限り最善の相互運用性を持つことになるだろう。

 日本のF2戦闘機生産は9月をもって終了した。日本は10年代の半ばには、既存の航空機の中から後継の機種を選ばなければならない。それゆえ、自国の航空機製造各社の生産方法の技術的な基盤を向上させるためにも、日本としてはFXに世界で最新鋭の航空機を導入することが重要なのである。また、米国の第五世代戦闘機の整備、技術の拠点が、(同様にF35の導入を考慮している)韓国ではなくて、日本に置かれることも、日本の国益に資するのである。

 (かつての次期支援戦闘機)F2が本当の意味での共同開発機ではなかったのと同じように、日本がどの機種を選定しようと、次期主力戦闘機(FX)も本当の意味での共同開発機とはならない。

 だが、日本がFXに第五世代機を選択するのであれば、日米両国はすぐにも、第六世代機を真の共同開発にすることについて検討を開始すべきだと思う。それは、ロシアや中国における開発を考えた場合、日米両国にとって、共通の価値を21世紀遅くまで継続し維持するために必要となりそうだ。