何やってんだか。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【産経抄】10月7日





「何やってんだか」。きのうの朝、岩手県陸前高田市の仮設住宅に住む女性が、ワイドショーのリポーターに小沢一郎被告の初公判について聞かれて、吐き捨てた一言だ。多くの被災者が、共感するのではないか。

 ▼小沢氏といえば、「剛腕」が枕詞(まくらことば)のようについてくる。それを被災地復興のためにふるったという話は、寡聞にして聞かない。そもそも、長くて華やかな政治家生活のなかで、何を成し遂げたといえるのだろう。

 ▼確かに選挙にくわしい。資金集めが巧みで、子分も多い。そういえば、かつて政治改革の先頭に立った姿も思い浮かぶ。ただ、改革が成就していたら起こるはずもない、「政治とカネ」をめぐる事件で、渦中にいるのが、他ならぬ小沢氏なのだ。

 ▼小沢氏の資金管理団体の名前をとって「陸山会事件」とも呼ばれる今回の裁判が、注目を浴びる理由は、主役の話題性だけではない。検察が不起訴としても、検察審査会が2度続けて「起訴すべきだ」と議決すれば必ず裁判にかける制度が、平成21年に導入された。裁判所が選んだ弁護士が検察官役を務める、いわゆる「強制起訴」された事件の、初めての公判となる。

 ▼裁判が従来とは違った様相を呈する可能性もある。小沢氏は、慶大卒業後日大大学院で、司法試験に挑戦した過去も持つ。きのうの初公判の意見陳述で、小沢氏は、「国家権力の乱用をやめ、民主主義を取り戻さなければなりません」と裁判そのものを批判した。昔取った杵柄(きねづか)を自己保身のためだけに使うのは、もったいない。

 ▼4億円の出所を含めて、正々堂々と争ってはいかがか。それが裁判を活性化させ、司法改革の進展に結びつくなら、政治家として本望ではないか。