「南シナ海行動規範」検討に着手。
【シンガポール=青木伸行】
東南アジア諸国連合(ASEAN)は4日までに、中国と領有権を争う南シナ海問題について、法的拘束力のある「行動規範」の検討に着手した。ASEAN側は、11月にインドネシア・バリ島で開かれる東アジア首脳会議をひとつのメドに、草案をとりまとめ、中国側に提示したい意向だ。
南シナ海をめぐりASEANと中国は7月、バリ島での外相会合で、「ガイドライン」(指針)を承認している。これは、2002年に双方が署名し、領有権問題の平和的な解決などをうたった「行動宣言」を、より具体化したものだ。
こうした流れに沿いASEANは、本来の目標であり、法的拘束力がある行動規範の策定へ持ち込もうと、論議を進めている。
これに対し、中国側は行動規範は自身の手足を縛ることになるため、協議そのものには応じる姿勢をちらつかせつつ、実際には策定を拒否している。中国は指針に基づき、ASEAN諸国と南シナ海における共同事業などを推し進めることを優先しており、それによって資源を獲得し、領有権を既成事実化していく狙いだとみられている。
ASEANは9月下旬、フィリピンで海洋法など国際法の専門家による会合を開き、南シナ海に「平和・自由・協力地帯」を創設することが必要だとの認識で一致した。これは、ASEAN諸国間の領有権争いを緩和する一方、中国に対し“結束”する動きとしても注目される。