【外信コラム】マーライオンの目
東ティモールを初めて訪れた。肌で感じたのは、困難な国家建設に対する日本の貢献、日本人の活躍ぶりだった。
国連東ティモール統合支援団(UNMIT)には、軍事連絡要員として汗を流す2人の自衛官がいた。陸上自衛隊の川谷豪1尉と栗田千寿2佐だ。
川谷1尉は、西部マリアナの地域支援センターで、村や自治体、インドネシアとの国境の監視所を巡回する日々だった。治安は大丈夫か-。状況を把握し情報を収集しては、報告した。
「住民らは信頼関係ができてくると、いろいろなことを教えてくれるようになる。悪戦苦闘の毎日でしたが、この国に貢献できたことはうれしい」と話した。
栗田さんは、明るくシャキッとした女性自衛官。「『栗田』は、ここの言葉では『タコ』という意味で、すぐに名前を覚えてもらえました」と笑った。
2人は半年間の任務を終え、国連と東ティモール政府から授与されたメダルを胸に、帰国の途についた。
給水施設や道路の建設などに携わる国際協力機構(JICA)の関係者も、悪戦苦闘していた。彼らの活躍は、日本への感謝となって返ってくる。流した汗も政府開発援助(ODA)も、決して無駄にはならない。それどころか、お釣りがきそうだ。
(青木伸行)