悪質な犯行。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【主張】元秘書全員有罪 

小沢氏は即刻議員辞職を「悪質な犯行」に自ら答えよ




小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、衆院議員の石川知裕被告ら元秘書3人全員に有罪判決が言い渡された。

 石川被告らと共謀したとして小沢氏も同罪で強制起訴されている。10月6日から始まる公判で、氏の関与の有無が争われる。しかし、元秘書の被告全員が有罪と認定されたことは、「小沢氏的な金権体質」が厳しく断罪されたことにほかならない。

 氏の手法については、公共工事の談合をめぐっての企業との癒着や政党助成金の使途のあいまいさなど、批判を受けている問題が多く、説明責任も果たそうとしていない。小沢氏は潔く政治的、道義的責任を取り、今すぐ議員辞職すべきである。

 ≪事務所ぐるみの犯罪だ≫

 判決は、被告側の主張をことごとく却下した。小沢氏からの借入金4億円をめぐる虚偽記入は被告らが隠蔽(いんぺい)工作のために故意に行ったものとし、その動機として、中堅ゼネコン、水谷建設から1億円の裏献金の存在も認めた。

 「岩手県などの公共工事の談合で、業者の選定に小沢事務所が決定的な影響力を持ち、秘書の了解は『天の声』と受け止められていた」とも指摘した。

 判決は、こう述べている。「本件は、現職の衆議院議員が代表者を務める政治団体に関し、数年間にわたり、収支報告書に多額の不記載や虚偽記入をしたものである。政治資金規正法の趣旨にもとる、それ自体悪質な犯行というべきものである」

 規正法はその基本理念で「いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、公明正大に行わなければならない」とうたっている。

 公判で明らかになった不記載や虚偽記入をめぐる不可解さは、どんな主張や言い訳を重ねても、規正法の趣旨に沿わないことは明らかだった。政治家が国民とともにあるために作った法令を、自ら踏みにじった罪は、極めて重い。

 判決はまた、事件の背景となった企業との癒着は、「被告人らが小沢事務所に入所する以前から存在していたものであり、被告人らが作り出したものではない」とも述べた。長きにわたる事務所ぐるみの犯罪と認定したに等しい。小沢氏の責任は、元秘書3人の誰よりも重いはずだ。

 一方、公判では検察側が証拠申請した供述調書38通のうち、11通が「威圧的な取り調べや利益誘導があった」として不採用となった。それでも客観証拠の積み重ねで有罪の結果は出たが、一連の郵便不正事件と併せ、強引な捜査手法には猛省が求められる。

 検察審査会の強制起訴による小沢氏の公判では、石川被告らとの共謀の有無が争われる。共謀の立証は難しく、東京地検特捜部も起訴を断念した経緯がある。しかし、検察審査会は特捜部の捜査を「追及不足」と指摘し、起訴議決に踏み切った。

 小沢氏側は虚偽記入の成立自体を否定していたが、石川被告らの公判で明確に認定された。この事実だけでも、自身の判決を待たず議員辞職する理由に値する。

 ≪許されぬ血税の私物化≫

 小沢氏の疑惑はこれにとどまらない。解散した旧政党資金が関連団体を迂回(うかい)して、小沢氏の資金管理団体に移されていた問題だ。

 新進党の結成前、平成6年まで小沢氏が率いてきた旧新生党からは、解散時の残金の大半の約9億2千万円が小沢氏関係の政治団体に移されていた。

 平成21年の衆院選でも、小沢氏が民主党内の側近議員ら89人に計4億4千万円を配分した。問題なのは、こうした資金には立法事務費や政党助成金などの血税が含まれていることだ。小沢氏はこれらを説明していない。

 数々の疑惑を抱える小沢氏に対し、民主党は党にとどまり活動するのを容認する党員資格停止処分とした。先の代表選では、党内最大勢力を率いる小沢氏を候補らが相次いで詣で、処分撤回が争点になった。小沢氏の復権論がとりざたされる状況は「政治とカネ」で国民の信を失ったことを理解できていない表れではないか。

 野田佳彦首相は26日の衆院予算委員会で、石川被告らへの判決について「司法判断についてコメントするのは差し控えたい」と述べた。いま党代表として求められているのは、小沢氏を除籍処分とし、辞職勧告する決断である。