自由な言論封じかねない。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【主張】民主党 





鉢呂吉雄前経済産業相が「放射能をうつしてやる」などと発言して辞任した問題を機に、輿石東民主党幹事長らが、党や政府内で情報統制を始めようとしている。自由な言論を封殺しかねない危険な動きである。

 輿石幹事長は定例会見で、「鉢呂氏辞任の経過も含め、大変残念だ。報道のあり方について皆さんも考えてもらいたい」と述べた。

 鉢呂氏の発言を報じたマスコミにも問題があると言わんばかりである。輿石氏は報道機関の幹部からも事情聴取を始めた。政治的圧力を加えたに等しい行為だ。

 輿石氏はさらに、党の代議士会や両院議員総会で、「マスコミ対応も含めて情報管理を徹底していきたい」と重ねて強調した。藤村修官房長官も閣僚懇談会で、「テレビ出演などでの発言は政府方針を踏まえ、慎重に行うように」と閣僚にくぎを刺した。

 身内の失言を十分に反省せず、閣僚や国会議員の言論を縛るようなやり方は本末転倒である。

 鉢呂氏の発言は議員宿舎玄関前の「オフレコ」発言で、あまり問題にすべきでないという見方も一部にある。だが、被災地の人々を傷つける発言は、オフレコでも許されない。閣僚としての資質を著しく欠いた発言で、これを国民に知らせたのは、報道機関として当然である。

 藤村官房長官は「報道規制をするつもりはないし、輿石幹事長もそういう意図はない」と弁明したが、民主党自体が秘密主義の体質を持っているのではないか。

菅直人前政権で、枝野幸男官房長官が「閣僚懇談会の内容を話さないように」と要請した。松本龍前震災復興担当相は被災地で高圧的な発言をしたあとで、「今のはオフレコ。書いた社は終わり」などと語り、ほどなく辞任した。菅前首相も「多忙」を理由に“ぶら下がり取材”を中断した。

 また、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件のビデオ映像を、民主党政権はいまだに公開していない。航空自衛隊の航空祭で、後援団体会長が民主党政権を批判したことを機に、民間人の言論まで封じる防衛事務次官通達を出した。

 都合の悪い言論を封じ、必要な情報を国民に知らせないのは、民主主義の理念に反する。野田佳彦首相自身も、ぶら下がり取材に応じていない。野田政権は組織防衛より説明責任を優先すべきだ。