羽田管制官、守秘義務違反か。ブログにアップ。
羽田空港の50代の男性主任航空管制官が、米大統領専用機「エアフォースワン」や、米軍偵察機の飛行計画などの情報をインターネット上に流出させていたことが9日、分かった。情報はすでにネット上から削除されているが、国土交通省航空局は「問題を重く受け止めている」として、本格調査を始めた。“極秘情報”のずさんな取り扱いが、日米関係に影響を与えることは必至だ。
国交省や関係者によると、流出したのは「フライトプラン(飛行計画)」などの情報。オバマ米大統領が昨年11月に来日した際、搭乗していたエアフォースワンの飛行中に、管制官がコンピューター端末からプリントアウトしたものをカメラで撮影し、ブログにアップしたとみられる。
飛行計画には、韓国・ソウルの軍事基地から出発し、羽田空港に到着するまでの詳しい経由地と通過時間が記載されていたほか、巡航高度や、搭載されている無線設備の標識なども書かれていた。
また、東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発のデータを収集するため、グアムから3月に飛び立った米軍無人偵察機「グローバルホーク」の情報もブログに掲載。運航経路や高度などのほか、現在地が記されているレーダー情報もあった。日米両政府は現在まで、偵察機から撮影された映像などのデータを一切公開していない。
この管制官はほかにも、業務中に入手したとみられる管制情報や、日本の政府専用機の機体を撮影した写真なども公開していた。
産経新聞は今月8日に国交省に流出を指摘。同省航空局は男性管制官から事情聴取した上で、ほかに関与した人物がいないか調べるとともに、飛行計画などの情報の管理体制がどうなっていたかを確認している。
飛行計画は航空法により、事前に管制機関に通報する必要があるが、軍用目的などの際は通報義務から除外される。民間航空機の飛行計画は航空会社の担当者も把握できるが、政府や各国の軍事機関の情報は管制官しか見ることができない。航空関係者は「飛行ルートが分かれば、次回どのようなルートを使うか推測できる」としている。
管制官の不祥事をめぐっては今年7月、短文投稿サイト「ツイッター」で管制施設内見学ツアーを企画、実施していたことが判明し、再発防止のための検討会を発足させていた。