制裁視野に再調査求めよ。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【主張】拉致と野田政権




発足したばかりの野田佳彦政権に、拉致被害者家族会がいらだちや不安をつのらせている。拉致問題解決への明確な姿勢が見えないからだ。

 4日、東京都内で開かれた緊急国民集会で、山岡賢次・拉致問題担当相は「解決に誠心誠意尽くす」と述べたが、準備された原稿を読み上げただけで、あいさつを終えると早々に退席した。山岡担当相は家族らと面会したものの、具体策は示さなかったという。

 山岡氏は拉致問題に関して、ほとんど実績がない。平成21年の衆院選前に家族会などが行った議員アンケートにも答えていない。しかも、山岡氏は国家公安委員長を兼務し、民主党政権になってから5人目の拉致問題担当相だ。

 野田首相の組閣人事について、家族会の増元照明事務局長は「拉致問題軽視としか思えない」と述べた。当然の指摘である。

 今回の組閣では、菅直人前首相が退陣間際に指示した朝鮮学校無償化に向けた審査手続き再開に関する閣僚の発言も注目された。

 中川正春文部科学相は「厳正にチェックしながら対応していきたい」と述べた。野田首相も「厳正に審査してほしいと思う」と述べるにとどめた。

 審査手続き再開は、拉致問題で日本が軟化したとの誤ったメッセージを送ることになりかねず、中野寛成・前拉致問題担当相や中井洽・元担当相らも強く反対した。しかし、野田内閣で審査手続きを撤回するとの方針までは示されなかった。残念である。

 緊急国民集会の開催は、北朝鮮が横田めぐみさんら日本人拉致被害者の再調査を約束しておきながら、それを一方的に先送りしたまま、3年たったからだ。

 家族会の飯塚繁雄代表は「首相が代わっても、再調査の約束は生きている。野田首相は拉致に対する日本の姿勢をはっきり大きな声で語ってほしい」と話した。集会では、再調査に応じない北朝鮮への追加制裁や、朝鮮学校無償化への審査を停止するよう政府に求める方針が決議された。

 菅前政権では、菅氏側から北朝鮮や拉致事件容疑者と関係の深い団体に巨額の政治献金が行われていたことも発覚し、家族会などの信頼が大きく揺らいだ。

 野田政権は家族会の声を真摯(しんし)に受け止め、北朝鮮への再調査要求などを実行に移すべきだ。