大型で強い台風12号が2日、ゆっくりとした速度で四国から近畿地方に接近した。各地では強風や雨による被害が相次ぎ、避難した住民らは不安な夜を過ごした。
和歌山県田辺市本宮町川湯では、大塔川が氾濫して付近の31世帯61人に避難指示が出された。同市や新宮市など8市町で自主避難を含め103世帯132人が集会所や公民館に身を寄せた。
新宮市では2日未明から風雨が強まり、市福祉センターには近くの高齢者ら約20人が自主避難。毛布にくるまり不安そうに台風の動きを伝えるテレビニュースに見入っていた。無職の女性(75)は「1人暮らしなので、雨と風が強くなると怖い。避難所なら知り合いもいるので、心が安まります」と話していた。
一方、三重県名張市美旗町の県立特別支援学校「伊賀つばさ学園」では土砂崩れが発生。けが人はなかったが、杉生彰校長は「あんなに崩れるとは思いもよらなかった。悪い夢でも見ているようだ」と話した。
四国でも台風の影響が広がった。香川県さぬき市前山地区では一部の住民59世帯151人に避難勧告が出たほか、12市町57世帯68人が近くの公民館などに自主避難した。
高松市木太町では、自転車で走行中の女性(54)が風にあおられて転倒し、頭に軽いけが。同市十川東町でも歩いていた女性(39)が風にあおられて転倒し軽傷を負った。
道の半分以上が冠水している山梨県・河口湖畔の道路
=山梨県南都留郡富士河口湖町(撮影・今野顕)
「台風12号」高波が押し寄せる国道42号線=2日午後5時7分、和歌山県すさみ町(大塚聡彦撮影)