中国の「軍事外交」に対抗、防衛研究所も移転。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110823/plc11082301300000-n1.htm
防衛省は22日、国連平和維持活動(PKO)に関する人材育成を行う「国際平和協力センター(PKOセンター)」の教育施設を同省(東京・市谷)の隣接地に開設する方針を固めた。5年後の開設を目指す。海外に派遣して人材育成してきたのを、開設後は逆に他国の関係者を招き、日本国内で育成していく。同省のシンクタンク「防衛研究所」(同・目黒)も移設し、市谷を安全保障の一大拠点にする。
PKOセンターは、自衛隊の国際平和協力活動を企画・立案する隊員や、PKOの司令部要員を養成。他省庁やNGO、外国人を対象にした教育も行う。
教育施設を開設するのは、自衛隊の対外的な役割をアピールするねらいがある。エジプトやガーナのPKOセンターに自衛官らを講師として派遣しているが、施設の開設後は外国の軍関係者を招き、評価が高い自衛隊のPKOのノウハウや教訓を伝承する。
また、「軍事外交」を推進している中国に対抗する狙いもある。中国は一昨年、「国防部平和維持センター」を設立し、アフリカ連合(AU)などから110人をシンポジウムに招き、PKOの専門部隊の訓練も公開している。防衛省内には対アフリカ外交で中国に水をあけられることへの危機感もあった。
教育施設は、政府の行政刷新会議による「事業仕分け」の審議に使われた旧国立印刷局市ケ谷センターに置く。防衛省は当初、目黒に施設を建設する予定だったが、一昨年11月の事業仕分けでハコモノは不要として廃止と判定された。このため旧印刷局の施設(7階建て)を再利用することにし、仕分けの舞台に置く「裏技」に出た形だ。
防衛省は8月に入り、ボーリング調査に着手。平成24年度予算案概算要求に改修費などを計上する。
防研についても、研究成果をより防衛省の政策立案に反映させるほか、PKOセンターとともに対外発信をてこ入れする考えだ。