反核に利用される脱原発。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







【主張】広島原爆の日
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110807/trd11080702380001-n1.htm

広島で66回目の原爆の日を迎えた。

 今年は東日本大震災に伴う福島第1原発事故と重なり、核兵器廃絶の訴えと原発政策のあり方の関連が注目されたが、菅直人首相は平和記念式典あいさつで「非核三原則堅持」などをうたう一方で、「原発依存度を引き下げ、『原発に依存しない社会』を目指していきます」と持論の脱原発を繰り返した。

 だが同じ6日、東北電力が東京電力に緊急の電力融通を求めたように、原発なしで日本が立ちゆかない現実は既に明らかといえる。脱原発にこだわる首相の言動は無責任としかいいようがない。

 東北電力が東電に電力融通を求めたのは4日以来3日連続で、東北を襲った先月末の豪雨とその後の気温上昇のダブルパンチを受けて電力危機に陥ったためだ。にもかかわらず、首相は式典後の会見でも「私の(脱原発)発言と政府の方針は方向性で一致している」と強調した。原発再稼働が進まない中で、脱原発の道を突き進めば危機は全国に広がりかねない。

 これに対し、松井一実広島市長は平和宣言で「脱原発を主張する人々、あるいは、原子力管理の一層の厳格化とともに、再生可能エネルギーの活用を訴える人々がいます」と双方の主張を取り上げ、政府に「早急なエネルギー政策の見直し」を求めるにとどめた。

 9日に田上富久長崎市長が読み上げる平和宣言(骨子)も脱原発に踏み込んでいない。首相の路線に乗らず、一定の距離を置いた両市長の姿勢を評価したい。

 松井市長は今年4月の統一地方選で初当選した被爆2世だ。平和宣言では被爆者の声を紹介し、平和を訴えた。反米色の強かった秋葉忠利前市長の平和宣言に比べ、比較的イデオロギーにとらわれない内容だった。

 ただ、今の日本にとり深刻な脅威である北朝鮮の核問題などに触れず、不十分さは否めない。

 今年は原水爆禁止世界大会が初めて福島市で開かれた。反核運動と脱原発を結びつけようとする政治的意図が透けて見える。

 日本の反核運動は必ずしも純粋ではなかった。中国や旧ソ連の核実験をめぐって共産党系と旧社会党系の団体がしばしば反目し、その対立は今も尾を引いている。

 日本の将来のエネルギー政策が党派性の強い反核運動に左右されてはならない。