ごめんですんだら…。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







【大阪特派員】鹿間孝一 菅さん、ごめんですんだら…
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110726/plc11072609290008-n1.htm




「ごめんですんだら警察いらんわ!!」。こんなポスターを見かけた。

 泣きじゃくる男の子の写真に、文章がかぶさる。子供同士のケンカで泣きながら訴えているのか、イタズラをしてお母さんに叱られているのか…いろいろ想像させるが、実は大阪府警の警察官募集のポスターである。

 大阪府警には過去にも名作があった。印象に残っているのは10年ほど前の「ヤマさんに、なろう。」だ。

 ヤマさんといえば、人気ドラマ「太陽にほえろ!」で露口茂さんが演じた渋いベテラン刑事が思い浮かぶ。主役の石原裕次郎さんの「ボス」でも、若い「マカロニ」「ジーパン」デカでもなく、たたき上げのヤマさんこそが理想の警察官をイメージさせる。

 もう一つ、地下鉄の駅でよく見かけた「チカン アカン」もいい。ストレートに「チカンは犯罪です」というより、はるかにインパクトがある。

 共通しているのは、どれも見る者の足を止め、「なんや、これ?」と首を捻(ひね)らせる。次いで、意図に気づいてニヤリとさせる。注意を引くための広告文をキャッチコピーというが、まさにキャッチしている。

 お堅い警察の広告としては、おそらくどれも大阪以外では採用されなかっただろう。が、大阪人の気質、大阪の文化を考えると、的を射ている。

 「商都」は「笑都」でもある。よく2人寄ったら漫才になる、と言われるが、ボケとツッコミで会話のキャッチボールを楽しむのが大阪人である。

冒頭のポスターを例に挙げよう。「ごめんですんだら警察いらんわ!!」というのはある意味、決めゼリフ、捨てゼリフで、普通なら気まずい雰囲気になるが、なんとかボケて返したくなるのが大阪人のDNAといえようか。

 こんなのはどうだろう。夫婦ゲンカで奥さんに「ごめんですんだら警察いらんわ!!」と言われて、「オレは警察官やがな」。ポスターを見ながら真剣に「返し」を考えている人が何人もいる、はずだ。

 子供たちの世界でも、勉強ができたり、スポーツが上手だったりするより、面白い子がクラスの人気者になる。女の子にもてるのも面白い奴。大阪では「おもろい(面白い)」が一番の褒め言葉なのである。

 阪神タイガースに楽天からFA移籍した藤井彰人選手が甲子園球場のヒーローインタビューで「顔しか取りえがないですけど、一生懸命頑張りました」と答えて、スタンドの爆笑を誘い、ファンの心をつかんだ。

 失礼ながら藤井選手はイケメンではない。どちらかといえばジャガイモ顔で、それが「顔しか取りえがない」と真顔で言うからウケる。プロ野球名鑑で調べてみたら、案の定、藤井選手は大阪出身だった。

 目立ちたがりで、サービス精神が旺盛、笑わせてナンボ…全部ひっくるめて、大阪弁の「いちびり」がぴったりくる。「いちびり」とは、ふざけてはしゃぐお調子者といった意味だが、決して蔑称ではない。目立つことや相手を楽しませるために工夫、努力をしているので「ホンマ、いちびりやなあ」と言われて、うれしそうな顔になる。難波にあるライブハウスの壁に貼り紙があって、「ギターの弦が切れたら、となり(のスタジオ)へ」「ピックがなければ、となりへ」「ライブ前の練習は、となりへ」、そして「まあとりあえず、となりへ」。街にも「いちびり」があふれている。

そんな大阪のノリが身についたのだろうか。震災、原発事故の対応で「責任を感じている」と国会答弁する菅首相に、思わず「ごめんですんだら警察いらんわ!!」とツッコミを入れていた。


                                 (しかま こういち)



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