派遣できる条件の整備を。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【主張】南スーダンPKO

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110720/plc11072002510003-n1.htm


 

スーダンから分離、独立してアフリカ大陸54番目の主権国家となった南スーダンに、国連が大規模な平和維持活動(PKO)部隊の派遣を決め、日本に陸上自衛隊の参加を正式要請してきた。

 東日本大震災で日本は世界中の支援を受けた。長い内戦に終止符を打った新国家の建設を手助けすれば、国際社会への目に見える返礼となろう。

 ただ、現状での陸自部隊の派遣はどうだろう。派遣を決める前に整備すべきことがある。

 参加が求められているのは新たに展開する南スーダン派遣団(UNMISS)だ。8千人規模で住民保護とインフラ整備を担う。国連はハイチ地震の復旧でも示された陸自の高い能力や規律を念頭に施設部隊などを要請している。

 問題は陸自の行動を制約する国内法である。現行PKO協力法は自衛隊員の武器使用を正当防衛や緊急避難時に限る。陸自部隊は他国部隊救援や邦人救出にすら武器が使えない。任務遂行を妨害する行為を排除するために武器を使うという国際標準が認められておらず、持てる能力を発揮するどころか、足手まといになるからだ。

 日本は3年前から旧国連スーダン派遣団司令部に自衛官2人を送り、部隊派遣の可能性を探ってきたが、昨年、国連から陸自ヘリ派遣を打診された際、「安全面の問題」を理由に派遣を見送った。

 東北の被災地になお自衛隊を投入している事情もある。ハイチにいる施設部隊の帰還を待つなどのやりくりも必要となる。

 貧困にあえぐ南スーダンの前途は多難だ。アフリカ大陸有数の産油国だった旧スーダンの油田の8割は南スーダンに集中する。ところが、石油精製施設や輸出港へのパイプラインは北の新スーダンにしかない。南北の国境線画定や石油収入の分配比率も未解決だ。

 日本は独立の2年前から、南スーダンで道路、橋梁(きょうりょう)の整備や職業訓練センターの拡張など「平和の定着」に地道な経済協力を続けている。これに対し、旧スーダンが産出する原油の過半を輸入してきた中国は、今度は南スーダンの石油資源の確保に乗り出した。

 利権争奪を新たな紛争の火種にしないためにもPKOは重要である。民主党は平和構築に役割を果たすと公約してきた。武器使用基準の見直しなど、そのための法整備の先送りはもう許されない。