皇后さま、トヨエツとお話しに。
皇太子ご一家「新側近」が抱負。
宮内庁の羽毛田信吾長官は14日の定例記者会見で、皇后さまの頸椎(けいつい)症性神経根症について、「依然としてお痛みが残っておられるご様子」と説明した。
羽毛田長官は11日、天皇、皇后両陛下と御所で懇談したといい、その際の皇后さまのご様子について「お話ししているとき、手をもむようなしぐさをなさっていました。ご自身もお痛みが残っておられるというお話はされていました」と述べた。
11日は東日本大震災から4カ月目にあたり、両陛下は、猛暑の中、体育館などの第一次避難所での生活を余儀なくされている人々の健康の問題や、4カ月を過ぎても身内に行方不明者を抱える人々の悲しみ、苦しみについて、気遣われていたという。
天皇陛下は13日、東京都千代田区で、国内現役最高齢の映画監督、新藤兼人監督(99)の作品「一枚のハガキ」を鑑賞された。痛みのため公務の一部を控えている皇后さまも上映前、陛下とともに新藤監督と会い、作品の完成を祝福された。皇后さまは映画を見ずに御所に戻られた。
宮内庁によると、両陛下は平成11年にも、新藤監督がモスクワ国際映画祭グランプリなどを受賞した作品「裸の島」をご鑑賞。新藤監督が平成9年に文化功労者、14年に文化勲章受章者となった際にも、それぞれ宮殿で会っており、親交をお持ちだという。
上映前、両陛下は新藤監督や俳優の豊川悦司さん、女優の大竹しのぶさんらの出迎えを受けられた。
陛下が「今日はどうもありがとう。楽しみにしております」と話されると、新藤監督は「私の映画を見に来てくださって、本当に感激しております」とあいさつした。皇后さまも監督の手を握り「お元気でね」と声をかけられた。
皇后さまはまた、豊川さんに「以前、陪審員の…」と話しかけられていた。豊川さんがかつて陪審員役で出演した映画を皇后さまはご覧になっていたのかもしれない。
陛下は上映後、新藤監督と握手を交わされていた。
一方、野村一成氏に代わって今月就任した小町恭士東宮大夫が15日、宮内庁で初の記者会見に臨んだ。東宮大夫は、皇太子ご一家のお世話をする宮内庁東宮職の責任者。【皇室ウイークリー】では、毎週のように東宮大夫の発言を紹介している。
小町氏は岐阜県出身で、昭和44年に外務省入省。欧州局長、駐オランダ大使、駐タイ大使などを歴任した。就任の経緯については「将来非常に大切な立場になられる皇太子殿下、ご一家にお仕えするということでございますので、自分のできることはすべてやらなければならないという思いでお受けしました」と話した。
これまでの仕事では、昭和天皇をロンドン、皇太子ご夫妻をオランダ、秋篠宮さまをタイで迎えたことがあるという。通訳として晩餐(ばんさん)会などで仕事をした経験があることも明かしたが、皇室とのかかわりはこの程度にとどまるとした。
また小町氏は、ハーバード大に留学していた1994年ごろ、大学のグループと一緒に皇太子妃雅子さまと懇談した経験を披露。「皇室の伝統を踏まえながらも、非常にそういう人々と話すことにオープンな感じを受けた印象が残っています」と話した。
皇太子さまは10日、東京都豊島区の学習院創立百周年記念会館で、ビオラ奏者として「学習院OB管弦楽団第63回定期演奏会」に出演された。
今回の演奏会は、東日本大震災の被災者支援チャリティーコンサートとして開催された。プログラムに書かれていたのは4曲だったが、開演に先立ち、「震災の哀悼曲」としてモーツァルトの「アベベルム・コルプス」が演奏されることが説明された。曲の趣旨に鑑み、「一切の拍手は遠慮してほしい」との申し出があり、数分間にわたる演奏の前後には、会場は静寂に包まれた。
皇太子さまはこの曲のほか、30分余りにわたるシューマンの交響曲をご演奏。後日、東宮職を通じ「被災地の一刻も早い復旧・復興を願って、ほかの団員のみなさまと一緒に心をこめて演奏しました」とする感想を公表された。
13日から14日にかけては、皇太子さまは「第47回献血運動推進全国大会」出席のため山形県を5年ぶりに訪問された。
東日本大震災後に東北に入ったのは、皇太子妃雅子さまとお見舞いのため訪問された宮城県に次いで2県目。13日に天童市で行われた、福島県からの避難者との交流では、40人余りいた会場の全員に声をかけ、22分の予定時間のほぼ倍の時間を費やされた。子供にも「夏休み楽しく過ごせるといいね」「愛子と同じですね」などと話しかけられた。
吉村美栄子知事との懇談の中では、教育や農産物を心配する質問のほか、「放射線についてはどうですか」という質問もされたという。知事によると、「たいへん心配している県民が多い。プール、運動場の心配もあるので、できるだけ測定しています」と答えたそうだ。
また、皇太子さまは、雅子さまからの「来県できなかったことを残念に思います。県民のみなさんによろしくお伝えください」というお言葉を伝えられたという。
寛仁親王殿下は12日、佐々木研究所付属杏雲堂病院(東京都千代田区)で、のどにできた中咽頭扁平上皮がんを切除された。同日夜、記者会見した執刀医の海老原敏・同院長によると、手術は予定通り終了し、順調にいけば2週間ほどで退院されるという。
海老原院長によると、中咽頭の右半分を切除し、失った部分は左腕の皮膚を移植したという。左腕には太ももから皮膚を移植。手術は午前9時50分ごろから始まり、午後4時50分に終了した。
今回のがんについて、海老原院長は、昨年12月に同じ部位にでき、内視鏡で切除したがんが再発したものという見解を示した。
手術により、今後の生活や公務への影響はほとんどないといい、人工咽頭を使って会話されることもこれまで通り可能と話した。
各宮家は今週もさまざまな公務を果たされた。
秋篠宮ご夫妻は13、14の両日、和歌山県をご訪問。「第60回全国農業コン
クール全国大会」に臨席された。
秋篠宮さまは11日、東京農業大学厚木キャンパス(神奈川県厚木市)で、講義をされた。
秋篠宮妃紀子さまは11日、宮邸で、日本手話通訳士協会会長から「第28回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」について説明を受けられた。また、全日本ろうあ連盟顧問から進講を受けられた。15日にも宮邸で、結核予防会事業部長から説明を受けられた。
英国を訪問していた常陸宮ご夫妻は14日、民間機で成田空港に到着し帰国された。英国滞在中は、「第23回高松宮殿下記念世界文化賞」の関連行事などに精力的に臨まれた。常陸宮さまは世界文化賞を主催する日本美術協会の総裁を務められている。
ご夫妻は11日、ロンドンのホテルで行われた世界文化賞の受賞者発表会見に臨席後、同日夕、ロンドンのバッキンガム宮殿で、エリザベス女王と約15分間会見された。その後、今回と過去の英国人受賞者らを招いて女王主催のレセプションが行われ、常陸宮ご夫妻も出席された。
12日夜には、ロンドンの大英博物館で、世界文化賞のレセプションと晩餐会が開かれ、ご夫妻もご臨席に。席上、常陸宮殿下は「昨日はエリザベス女王とフィリップ殿下から東日本大震災に対するお見舞いの言葉をいただいた。女王をはじめ英国民、全世界の皆様の気持ちに感謝する」と謝辞を述べられた。
三笠宮ご夫妻は12日、宮邸で、トルコの新任駐日大使夫妻を引見された。
高円宮妃久子さまは12日、アルカディア市ケ谷(東京都千代田区)で、平成23年度第1回国際教育振興会賛助会理事会に出席された。13日には、グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)で、「第28回産経国際書展」贈賞式と祝賀会に臨席された。
久子さまは10日、58歳の誕生日を迎えられた。
映画「一枚のハガキ」の試写会会場に到着された天皇、皇后両陛下。右は新藤兼人監督
=13日夜、東京・有楽町のホール(代表撮影)


