亀は意外と速く逃げる。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





「夕刻の備忘録」 様のブログより。



二年前の夏、民主党が圧倒的な議員数を確保しながら何故、摩訶不思議な三党連立政権を作ったのか。恐らくは当時から参議院の行く末を見越していた小沢の深謀遠慮によるものであろう。今考えても気分が悪くなる「有り得ない組み合わせ」であった。社民党が与党になるなんて。

そして国民新党が与党になるなんて。自民党郵政解散の煽りを受けて、離党した連中が作った党である。反小泉で結集した連中が緊急避難先として作った政党である。そして今なお「支持率ゼロ」、調査の誤差に埋もれて数字が見えない政党なのである。

目指すは「郵政再国有化」なのか、その存在意義は何処にあるのか。
綿貫氏よりバトンを受け継いだ亀井静香のみが目立つ政党である。

亀は意外と嘘を吐く。

政局批判を繰り返し、自分達は如何にもそうした問題とは無縁であるかの如く振る舞うが、要所要所で出て来ては、サラリと嘘を吐いて去っていく。

「自民党は復興の足ばっかり引っ張っていないで……」など、何度も聞かされたこの台詞が典型である。まさに簡単に嘘を吐く、会話の中に嘘を混ぜ込んで、それを既成事実化させていく不潔な技術である。何時、何処で、どのように足を引っ張ったのか、それも「ばっかり」とまで言われては、日々国会中継を見ている人間なら、この人物のあらゆる言動に不信感を持つだろう。

そもそも郵政問題の為に与党入りしたにも関わらず、それが一向に進展しない責任を取って、自らは閣僚を辞したのである。それで支持者への面目が立ったのか、その後は即かず離れずで与党の末席を穢している。

かつて集会で、外国人参政権が通らないのは与党内に国民新党があるからだ、と大演説をぶったことがあったが、如何にも自党の宣伝に終始したその内容は、場を白けさせただけであった。

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その本質は何処にあるのか。「政治不信」などという安直な言葉は使いたくないが、現実の問題を解決する為に、出来ぬ妥協をするのが政治家である。結果こそ全て、それが政治家である、とは分かっていながらも、余りにもデタラメな妥協と、軸の無い応接では、その人間のどこを信じればいいのか分からなくなる。この種の不明朗さが、所謂「政治不信」の元凶であることは容易に想像がつく。

あれだけ中川昭一と親しかった男が、あれだけ中川昭一をいたぶった政党と組んでいることが理解出来ない。政策論議で対立したのではない、まさに自らが否定している「政局」として中川を批判し、無理難題を押し付け、その寿命を削り取ったのである。

結果的に政治家中川昭一の総決算となった予算が、あと僅かで通過するという状況で、その後の辞任を確約した状況下で、それを見届けることさえ許さず、今日辞めろ、今辞めろ、辞めなければ審議拒否だと暴れ回った連中と組んでいる。

その急先鋒だった男の補佐官とやらをやっている。議席を失ってもなお、日本が危ない、危ないからこそ声を挙げる、とその悲痛なる思いを最期の瞬間まで記していた中川昭一。その主敵、まさに日本を危うくする側に着いているのである。

「これまで多くの大臣、総理が任期途中で辞任した、それは彼等の心が弱かったからだ」と放言した男を補佐している。今なお中川昭一を侮辱し続けている、中川の心が折れた、その心は弱かったと言っている男の側近として、自らも放言三昧を続けている。理解出来ない、理解したくない対応である。

もはや民主党は郵政問題を国会で取り上げることはない。
取り上げれば、話を進めなければならない。
話を進めれば「国民新党の悲願」が達成されるかもしれない。
そうすれば彼等は与党である意味を失う。そして離反する。

よって、話は進めない。
よって、国民新党は与党のままである。
引き留めはこうして成功する。

この構図は、被災地の復旧問題と瓜二つではないか。
被災地支援を充実させて復旧が進むと、退陣要件が満たされる。
よって復旧はさせない。出来る限り遅滞させる。
よって、自らはその地位に留まれる、という流れである。

露骨なまでに各地域での原発再開を阻止している。
夏の電力不足など何も考えていない。
国民生活など歯牙にも掛けていない。

崩壊間近とはいえ、ここから先に何が待っているのか、誰も知らない、知り得ないのである。日本歴史上、ここまで腐った男は未経験だからである。そんな男の横に居て、平気で嘘を垂れ流し、自民党を槍玉に挙げては溜飲を下げている。


民主党には、自民党に対する怨念だけで生きている政治家が集まっている。その資格を問われ、弾かれ、相手にされなかった連中が「自称若手」のままに集っている。彼等を支え、ここまで誘導してきたのが、さらなる怨念の塊であるベテラン離党者である。あるいは追放組である。

確かに彼に私利私欲は無い、あるのは私怨だけである。
亀井静香よ、何処へ行く!

好漢中川昭一の死に涙した者が、中川が最も嫌った売国政治家の一味に加わっている。奇妙な老害である、実に奇妙な理解不能の老害である。

しかし、これだけは言える。
現政府の最期の瞬間にはそこに居ないだろう。
実に巧みに姿を消しているだろう。

亀は意外と速く逃げる。

難破船から鼠が逃げ出すように、政府からは亀が逃げてくる。
それが何時か、それだけが楽しみである。