空自FX選定 
「ユーロファイター調達が賢明」と前英空軍参謀長PR
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110706/erp11070621180003-n1.htm
 
航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)選定をめぐる商戦が激しくなってきた。欧州4カ国共同開発のユーロファイターを売り込む英防衛産業大手、BAEシステムズの上級軍事顧問で前英空軍参謀長のグレン・トーピー氏が産経新聞と会見し、「離陸まで4分。高度4万フィートまで2分で到達し、高度5万~5万5千フィートでも高い運動性を維持できる」とユーロファイターの防空能力の高さを強調した。(ロンドン 木村正人)
 日本の防衛省は、米ボーイング社のFA18戦闘攻撃機(近未来型スーパーホーネット)や、米ロッキード・マーチン社が開発主体のF35、そしてユーロファイターをFXの有力候補としており、年内に機種を決める予定だ。
 ユーロファイターやFA18を操縦したことがあるトーピー氏は、空対空を重視する戦闘機と対地攻撃機の違いを挙げ、「空対空なら(高コストを理由に製造中止になった)米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22がずば抜けている」と語る。
 FA18については「アフガニスタンやイラク、リビアでの作戦に使われた。翼を大きくして航続距離を伸ばし、空対空より対地攻撃能力を向上させてきた。だがユーロファイターのように5万フィートの高度で戦える運動性はない」と指摘する。
開発中のF35に対し、ユーロファイターは英国など6カ国ですでに運用されており、運動性と戦闘能力は実証済み。BAEシステムズはF35の開発にも参加しているため、「F35は主に対地攻撃、二次的に防空という攻撃戦闘機だ。ユーロファイターは防空能力に優れ、二次的には対地攻撃任務にも対応できる。両機を組み合わせて運用すれば、日本の空の守りは万全だ」と提案する。
 防衛省が将来、F35を配備する考えなら、役割が重複するFA18を“つなぎ”として導入するより、防空能力でF22に次ぐユーロファイターを調達する方が賢明だ、というのが同氏の主張だ。「FA18は運用コストが高く、空母での運用が前提だ」(日本の航空専門家)という指摘もある。
 BAEシステムズはユーロファイターのライセンス生産を認める方針で、同氏は「日本側はあらゆる部品の開発・製造に参加でき、ブラックボックスはない」と強調。戦闘機の製造能力を維持したい日本の防衛産業にも配慮を見せる。
 これまで航空自衛隊は米国以外から戦闘機を購入したことがなく、ユーロファイターにとって“日米同盟の壁”が最大の難関といえそうだ。