予備自衛官との“両立”目指す五輪代表。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【アスリート動く】(2)射撃 森ゆかり 




「来年には五輪があり競技もおろそかにできない。でも、災害派遣にも行きたい。もどかしいですね」。射撃女子25メートルピストルの森ゆかり(32)=埼玉県協会=は語る。

 昨年8月の世界選手権で4位に入り、ロンドン五輪出場権を獲得。2004年アテネ大会以来となる自身2度目の五輪が近づく。一方で、元自衛官として未曾有の被害に苦しむ被災地を見つめる自分がいる。

 12年間を自衛隊で過ごし、09年に退官後も年間5日の訓練を受け、予備自衛官としての登録を続けてきたのは「何かあったとき、役に立ちたいから」。「一般の方よりできることは多い」との自覚もある。支援活動を行いたいとの思いは強い。

 3月11日の震災発生直後、被災地に足を運んだ。12、13の両日に宮城県石巻市で全日本ライフル射撃選手権を開催予定だったため、多くの関係者が宮城県で震災に遭った。自身は3月下旬のW杯シドニー大会に向け首都圏に残り調整していたが、帰宅できない知人を迎えに自家用車で宮城県に向かった。W杯シドニー大会は出場を辞退することになった。

 4月には通常の競技生活を再開したが、「中ぶらりんな感じでした。被災地に行きたいし、競技をしていていいのかという気持ちもあったし」と振り返る。

そんなとき、テレビで見たのが、4月下旬に行われたフィギュアスケート世界選手権で優勝した安藤美姫(トヨタ自動車)の演技だった。「安藤選手はあきらめない気持ちを伝えたかったのだと感じた。スポーツを通じて自分も同じことができればと思った」。

 被災地で直接支援活動をする(自衛隊の)同期をうらやましく思う気持ちはいまもある。それでも「私にできることを考え、それが現地に行くことではなかったとしても、被災地の支援につながると信じて頑張りたい」と思えるようになった。

 もちろん、予備自衛官の立場を封印するつもりはない。「競技に支障がないときに行ければ」。五輪代表と予備自衛官との“両立”を目指している。



草莽崛起  頑張ろう日本! 

            予備自衛官と射撃の両立を目指す森ゆかり(橋本謙太郎撮影)