【甘口辛口】原発。
「でたらめ委員長だ」と、国民新党の亀井代表が原子力安全委員会の斑目(まだらめ)委員長を批判した。福島第1原発への海水注入をめぐり、当初「再臨界の危険性がある」とした斑目氏は「言ってない」と反発。「可能性はゼロではない」と発言が訂正されたが、「修羅場で言うべき言葉ではない」と亀井氏は更迭を求めた。
でたらめかどうかはともかく、安全委の人たちは事故後、一度でも現場に足を運んだのか。それこそ安全なところで能書きを並べているだけという感じだ。理論にたけていても、「血を見るのが怖いから」と自分は手術室に入らない外科医みたいなものではないか。
ある外国人専門家が「日本の原子力は御用学者を集めて理論では進んでいても、技術者が育たず技術の蓄積がない。だから、こういう結果になったのでは…」とラジオ番組で指摘したのを聞いたが、確かにその通りだろう。東電幹部も技術者養成に金をかけるより、自分たちの超高給の方が大事だったのだろう。
海水注入の中断について菅首相は野党の追及に「報告がなく、止めろと言うはずがない」と否定した。しかし、内閣府の原子力委メンバーでもある青山繁晴氏(独立総合研究所)はテレビ番組でこう話した。「政府が原子力緊急事態宣言を出した以上、情報を集め判断を下すのはすべて官邸の任務。報告を受けていないでは違法だ」。
言った、言わないで最後は“口裏合わせ”。「首相は嘘の上に嘘を塗り固めている」と自民党・谷垣総裁が切り捨てた。「僕は原子力にものすごく詳しい」と首相は豪語したはずだが、それも嘘?。“でたらめ”と“嘘つき”に振り回されるのは、もうご免だ。
(サンケイスポーツ 今村忠)