皇室ウィークリー(179) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





両陛下、福島の野菜でご昼食。 

被災者に雅子さま「私もソフトボールを…」



 東日本大震災から2カ月の節目を迎えた11日、天皇、皇后両陛下は、震災の被災者や東京電力福島第1原発事故による避難者を見舞うため、福島県を日帰りで訪問された。福島市と、第1原発から半径45キロ圏内の相馬市に入り、津波で被災した地域を視察された。

 

 福島空港に自衛隊機で着かれた両陛下は、自衛隊ヘリに乗り換えてまず福島市へ。避難所になっているあづま総合体育館を見舞われた。陛下は夫がエコノミークラス症候群になり入院している南相馬市の女性(75)に「エコノミー症候群だと運動が重要だといいますね」と話された。

 

 皇后さまは南相馬市から避難する牛来(ごらい)茂さん(61)夫妻に対し、同市の伝統行事で国指定重要無形民俗文化財の「相馬野間追(そうまのまおい)」について「またできるといいですね」と励まされた。

 葛尾村の東海林きく江さん(77)は、皇后さまに「同じ昭和9年生まれです」と話しかけた。皇后さまは東海林さんの両手をしっかり握り「戦争がね…。同じ世代を生きましたね。お元気で」と声をかけられた。

 

 震災からちょうど2カ月となる午後2時46分を両陛下が迎えられたのは、福島市から相馬市へ移動する自衛隊ヘリの中だった。宮内庁によると、両陛下は座ったまま1分間黙●(=示へんに寿の旧字体)(もくとう)されたという。

 

 相馬市では、津波で壊滅的な被害を受け、146人の死亡が確認された原釜・尾浜地区を訪れ、小雨の中で傘を閉じて黙礼された。両陛下が乗られたマイクロバスが走った沿道では「ありがとうございます」という手書きの紙を掲げた女性もいた。両陛下は今回もバスの中で立ったまま手を振り、大きな歓迎の声に応えられた。


立谷秀清市長によると、同地区で陛下は、津波がどのくらいの高さまできたかを質問された。皇后さまは「漁業者の方にがんばっていただきたい」と話されたという。また、市内各所での同行を通じ、福島第1原発の事故に関する話題はなかったことを明らかにした。

 だが、避難所となっている中村第2小学校のお見舞いでは、「クラブ活動ができなくて残念です」と話した中学生の男子生徒に対し、陛下が「放射能の関係がね」と応じられる場面があった。

 

 福島市では、昼食に福島県産の野菜がふんだんに入った弁当を召し上がったという。瀬戸孝則市長によると、食事の席で陛下は、「おいしい桃を前にいただきました」と話された。皇后さまは「風評被害が心配ですね」と案じられたという。帰りには県産野菜を私費で購入されたことも明らかになった。

 

 7週連続で避難所・被災地を訪問してきた両陛下の「祈りの旅」は、被害が特に大きかった東北3県すべてに入られたことで「1つの区切り」(宮内庁の羽毛田信吾長官)がついた。来週の土日の21、22日には震災後初となる一般行事での地方ご訪問(和歌山県の植樹祭)が予定されている。側近によると、お疲れの様子もみえるとのことだが、今後も休養を取りながら、被災地に心を寄せていかれることだろう。

 これに先立つ10日、両陛下はお住まいの皇居・御所で、菅直人首相から東日本大震災への政府の対応などについて説明を受けられた。宮内庁によると、官邸から同庁に対し、両陛下に説明したいという菅首相の意向が伝えられ、両陛下がお受けになったという。首相が震災について両陛下に直接説明するのは、平成になってから初めて。


皇太子ご夫妻は7日、福島県広野町などから避難する人々を見舞うため、埼玉県三郷市の瑞沼市民センターを訪問された。ご夫妻が避難所を見舞われるのは、4月6日の味の素スタジアム(東京都調布市)に続き2回目。ご夫妻は膝をつき、目線を合わせて一人一人に声をかけ、予定を1時間20分ほどオーバーして避難所に滞在された。

 皇太子さまは避難生活が長引く人々に「いつかお帰りになれるといいですね」「一時的にはお帰りになる機会はあったんですか」と気遣われた。

 皇太子妃雅子さまは子供たちに優しく声をかけられた。広野町から避難する鈴木拡樹くん(9)が三郷市の少年野球チームで野球を続けているという話を聞くと、「私も高校生のときソフトボールをしていたんですよ。ポジションは?」とお尋ねに。校外学習が楽しみと話す中学1年の遠藤琢矢くん(12)には「天気がいいといいですね」と話された。

 寝そべって絵を描いていた3歳の女の子の足が、お声がけする皇太子さまの膝にあたる場面もあったが、皇太子さまは「どうぞどうぞ、(足を)伸ばしてね」と語りかけられ、周囲に笑いが広がった。

 宮内庁の野村一成東宮大夫は12日の定例会見で、被災地入りを希望されているという皇太子ご夫妻の今後の予定について、「これまでの説明に付け加えることはございません」と、具体的な計画が固まっていないことを明らかにした。「受け入れ先になる現地の事情を十分に踏まえ、慎重に調整している」としている。


皇太子さまは13日、空路で富山県に入られた。14日に富山市で開かれる「第22回全国みどりの愛護のつどい」出席のためで、13日は同市の「八尾曳山展示館」を視察された。前述のように、雅子さまは4月6日の東京都調布市に続き、5月7日にも埼玉県三郷市の避難所を訪問されていたが、今回は皇太子さま単独でのご訪問となった。

 

 一方、野村東宮大夫と学習院初等科の関係者によると、ご夫妻の長女の敬宮愛子さまは、最近では以前より早く、2時限目から登校されることが多くなっている。先週の6日には1時限目から通学するなど、学校におられる時間が長くなっている傾向がみられるが、雅子さまが登下校に付き添われる状況に変化はないとしている。

 

 宮内庁は12日、両陛下のご意向を受け、栃木県内に避難する被災者のために始めた那須御用邸の職員用宿舎の温泉施設の提供と、御料牧場で採れた卵などの避難所への提供を終了すると発表した。栃木県内に避難する被災者の多くが、旅館やホテルなどの二次避難所に移ったため、県と相談の上、終了することにしたという。宮内庁によると、温泉施設は3月26日から4月19日までの間、9カ所の避難所から延べ449人が利用。御料牧場の卵や缶詰は6カ所の避難所に提供された。

 


各宮家は今週もさまざまな公務を果たされた。

 

 秋篠宮ご夫妻は9日、お住まいの宮邸で警察庁警備局長から、11日には防衛省運用企画局長と統合幕僚監部運用部長から、東日本大震災に関連しそれぞれ説明を受けられた。

10日には、東日本大震災で津波の被害を受けた青森県を訪問された。ご夫妻は東京、新潟、群馬の避難所に足を運んできたが、被災地に入られたのは初めて。

 ご夫妻はまず、三沢市の三沢漁港をご視察。八戸市も訪問し、イカ釣り漁船が津波で打ち上げられたままになっている漁港の様子などを視察された。被災者の集まる集会所では「お大事になさってください」などと声をかけられた。

 

 高円宮妃久子さまは12日、宮邸で、ヨルダンから帰国した大使と懇談された。同日、宮邸で、離任する駐日コンゴ大使夫妻を引見された。





草莽崛起  頑張ろう日本! 

     避難所を訪れ、被災者に声を掛けられる天皇陛下。右から3人目は佐藤雄平福島県知事

                          =11日午後、福島市のあづま総合体育館(代表撮影)



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             避難所へお見舞いに訪れ、被災者と言葉を交わされる皇后さま

             =11日午後1時半、福島市のあづま総合体育館(代表撮影)



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    被災地に向かって黙礼される天皇、皇后両陛下=11日午後、福島県相馬市(代表撮影)



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              避難所を訪れ、励ましの言葉をかけられる皇太子ご夫妻

              =7日午後、埼玉県三郷市の瑞沼市民センター(代表撮影)



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        被災者に声を掛けられる秋篠宮ご夫妻=10日午前、青森県八戸市(代表撮影)