「何がそんなにめでたいんだ」 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







【甘口辛口】落合監督、G・小笠原にオレ流祝辞。



「百里を行く者は九十を半ばとす」。物事は終わりの部分に困難が多いから、九分通りを半分と心得て、最後まで緊張と努力を続けなければいけないことを意味する中国の故事だ。残り11安打でシーズンに入ったが、まさかの不振。巨人・小笠原道大内野手の通算2000安打到達は17試合の長旅だった。

 「やっぱり意識しました。普段あれだけのカメラが集まることはないので」と正直に口にした。口さがない評論家は「ガッツも人の子」と言ったが、ソフトバンク・王貞治球団会長は「人間らしさを垣間見た気がします」と称えた。「プレッシャー」で足踏みしたのも、努力の人らしさなのだろう。

 1997年、ドラフト3位で日本ハムに入団。中堅以外のすべてを守った経験があることから「コンビニルーキー」と呼ばれていたそうだ。1~2年目は捕手としてプレー。空振りしたマルティネス(当時西武)のバットが、捕手・小笠原の後頭部を強打し、意識朦朧となった場面を“珍プレー”で見たが、まさにガッツの根源だ。

 すでに3500安打(日米通算)を超えているマリナーズのイチロー外野手とは同い年で、誕生日が3日遅いだけ。「柔」の男とは対局に位置するフルスイングの「剛」の男は、「野球が10あるとすれば、まだ1も分かっていない気がする」。道半ばと謙そんした。

97年から2年間、日本ハムで同じユニホームを着てプレーし、ガッツの野球観に影響を与えた中日・落合博満監督は「何がそんなにめでたいんだ。2000本打って辞めるのか。続けるんだろ?」。こちらも通過点でしかないというオレ流の祝辞。野武士がバットに記す『道』の文字は、百里まで続くはずだ。


                              (サンケイスポーツ 清水泰史)






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   2000本安打達成となる中前打を放つ小笠原道大=5日、東京ドーム(撮影・山田俊介)