「首相が指導力発揮していない」76%でもまだ続行か。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







【甘口辛口】



菅首相の交代時期について「直ちに退陣すべきだ」が23・6%に達した。共同通信社が先月末に行った全国電話世論調査の結果で、前回調査(3月末)は13・8%だった早期退陣論が大幅に拡大。原発事故に関し「首相が指導力を発揮していない」が実に76%に達した。この数字で、なお首相を続けているのは尋常ではない。

 そんな折、小佐古敏荘内閣官房参与(東大大学院教授)が原発事故の対応を「場当たり的」と批判して辞任してしまった。文科省が福島県内の小学校、幼稚園などの屋外活動の被曝限度を年間20ミリシーベルトと設定したことを、小佐古氏は「とても許すことができない」と最も問題視したという。

 「少なくとも私がやってきた学問に外れると思った。菅首相らに何を提言しても無意味だとなれば、とどまる意味がない」とは思い切った発言だ。その上、会見で涙を流した。無能な政府に対する絶望感はよほどだったのか。だが、冷静なはずの学者に涙を見せられては国民は困惑する。

 原子力安全学という立場から、場当たり的という言葉の背景にある科学的根拠をもっと示してもらいたかった。「20ミリシーベルトで許せないのなら10ミリシーベルトでも危ないのでは」と不安が増幅し、涙の裏に公表できない恐ろしいことが隠されている、と思われても仕方ない。それでも菅首相は「原発専門家の見解の相違」で片づけた。自分が招き入れたのに無責任も甚だしい。

 こんな国民不在の、訳のわからないところが「76%」の数字に表れている。子供たちの将来にかかわることだ。専門家の間で見解の相違があるなら、公開の場で徹底的に議論させるべきで、それが首相の指導力というものだろう。


                               (サンケイスポーツ 今村忠)