あれ、飲み過ぎて曜日を間違えたか、と一瞬焦った。「昭和の日」の朝、ゆっくり起きてテレビをつけると、聞き覚えのある会津なまりのご老体が、「経験が浅い」と国会で菅直人首相をたしなめていた。NHKの国会中継は、たいがい平日の午前9時から始まるので、勘が狂ってしまった。
▼きのう、衆院予算委員会で第1次補正予算案の審議が始まった。国会は、週休2日を厳格に守る職場なので、土曜の開会さえ、10年前にさかのぼる。4~5月の大型連休中の休日に審議が行われたのは実に49年ぶりなんだそうだ。
▼休日議会は東日本大震災の復旧を急ぐための緊急措置だが、意外と拾いものだった。日ごろ口汚いヤジを飛ばすか、居眠りしているセンセイたちが、視聴者を意識してかまじめに質疑に聞き入り、緊張した空気が流れていた。
▼ふだんは「学級崩壊」状態のクラスが、参観日だけおとなしいのに似ているが、休日議会は月2、3回やった方がいい。田中康夫氏が、津波にやられた田んぼを何百億円もかけ元に戻す政府案に反対し、筑波大教授が発表した「石油になる藻」を繁殖させる実験場にすればいい、という提案も聞かせた。
▼問題は、党内でさえ抑えられない首相が、各党から出たアイデアをまとめ、実行に移せるとはとても思えないことだ。部下も部下で、判断ミスと言い訳を繰り返している。
▼防衛相は震災当夜、一刻も早く対策本部に駆けつけねばならなかった東京電力の社長が乗った自衛隊機を名古屋にUターンさせ、反省の色もない。政治が「オールジャパン」になるには、危機管理に失敗したトップが責任をとり、再出発する以外ない。これまた連休返上でやれるはずだ。