【産経抄】4月29日 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







今年のアカデミー賞で、作品賞など4冠に輝いた『英国王のスピーチ』は、吃音(きつおん)症に苦しんだジョージ6世の史実に基づいている。きょうウェストミンスター寺院でケイト・ミドルトンさん(29)と結婚式を挙げる、ウィリアム英王子(28)の曽祖父だ。映画のクライマックスで国王は、第二次世界大戦が始まった1939年9月3日、大英帝国全土に向けて、国民を鼓舞するラジオ演説を成功させる。

 ▼もっとも国王が真骨頂を発揮したのは、それからだった。ドイツ軍の空襲の最中もロンドンにとどまり、爆撃を受けた地域を王妃とともに訪ねて、人々を慰めた。国民と王室の絆を強めることで、国難を乗り切ったといえる。

 ▼天皇、皇后両陛下は27日、津波で甚大な被害を受けた宮城県南三陸町と仙台市を訪れ、被災者を見舞われた。いつものように両膝を床につけ、一人一人に声をかけられるお姿から、国民とともに国難を乗り越えてみせる、との決意が伝わってくる。

 ▼両陛下はすでに、東京都や埼玉県の避難所や千葉県と茨城県の被災地にも足を運ばれている。宮内庁によれば、「一日も早く東北地方に入りたい」との意向を持たれていたという。

 ▼「昭和の日」といえば、焦土と化した日本が復興を果たす要因のひとつとなった、戦後巡幸を思い出す。昭和天皇は昭和21年2月から9年かけて全国を回り、国民を励まされた。震災5日後、天皇陛下が国民に語りかけられたビデオ映像を、「平成の玉音放送」と呼んだ人がいる。

 ▼それに倣えば、両陛下のお見舞いはまさに「平成の巡幸」だ。岩手県や福島県の被災者も、心待ちにしていることだろう。ただ、77歳の陛下、76歳の皇后さまのご体調だけが心配だ。






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