【社説検証】統一地方選
今回の統一地方選挙(前半戦)は、東日本大震災という未曽有の国難のなかで実施された。結果は、与野党対決型の3知事選で全敗し、道府県議選でも改選時勢力を下回るなど、民主党の惨敗に終わった。
読売は、「与野党協力が困難になる恐れもある」などと今後の政治の混乱を念頭に置いて「首相は、この事態を重く受け止めるべきだ」と論じた。日経も「選挙結果を厳しく受け止める必要がある」とする。しかし2紙は、菅直人首相の進退については言及しなかった。
対して朝日は「地方選の勝敗を、直ちに政権の存亡や首相の出処進退に結びつけるべきでもない」と、首相続投を妥当とする見解を表明した。
毎日は、統一選翌日の社説では「政権与党として『危機』の中での不振を深刻に受け止めなければならない」と書くにとどめたが、「菅首相への批判」と題した14日付社説では、首相の責任感や謙虚さに欠ける姿勢を指摘しつつも「だからといって今、首相退陣を求める意見にも到底、賛同はできない」と、続投支持を打ち出した。
唯一、菅氏に政権は託せないとの立場を鮮明にしたのが産経である。まず11日付で「政権交代への失望が民主党への拒絶反応につながり、『民主党の看板』では戦えない状況が全国に蔓延(まんえん)していることを証明」したと結果を総括し、「信任されていないことが明確になった以上、首相は自らの進退を決断すべきだろう」と主張した。
また首相や枝野幸男官房長官が退陣否定の発言をしたことを受け、12日付で「選挙結果が明らかにした国民の審判を直視しようとする姿勢はうかがえない」と重ねて批判した。
民主党の敗北については朝日も「首相の仕事ぶりに対する有権者の極めて厳しい評価を反映していることは間違いない。原発事故への頼りない対応への批判や不安も、当然あろう」と指摘する。
ただ、それにもかかわらず「ここで大胆な変わり身を見せられなければ、菅政権は後がないと覚悟しなければならない」と論を進めた。震災直後ならまだしも、1カ月も経過してなお「変わり身」に期待するという論旨には、違和感を覚えた向きもあろうかと思われる。被災地には、そんな悠長な時間が流れているとはとても想像できないからだ。
首相のおひざ元でもある首都での決戦は、自民党などが支援した石原慎太郎知事が4選を果たした。政権与党の民主党が候補を擁立できずに「不戦敗」となったことは、同党の退潮をいっそう印象づける。
毎日は「3期務めた現職の安定感が有利に働いた」と評したが、産経と読売は異口同音に「震災の影響で『強い指導者』への期待が集まったのだろう」(読売)と分析した。
東京は、「防災服で危機管理に立ち回る石原氏はそれだけで力強いリーダーと映っただろう」と皮肉めいた見方を示し、「選挙はやはり事態が落ち着いてからにすべきだった」と続けた。選挙結果を見たうえでの“愚痴”に聞こえないか。
産経は「道徳教育の充実、国旗・国歌の指導徹底などの教育改革はさらに進めてほしい」と、これまでの石原都政への評価とともに、今後に対する注文も盛り込んだ。
国難のもと、総選挙が直ちにかなえられない状況にあることも考えて国民は今回、地方選といえども国政選挙並みの思いを一票に託したのではなかろうか。民主党はそんな国民の審判を無視してはなるまい。(清湖口敏)
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■統一地方選(前半)の結果を受けた各社社説
産経
・菅首相不信任は明白だ/国難克服に政権を託せない(11日付)
・国民による審判直視せよ(12日付)
朝日
・敗北民主は後がない
・大阪都構想より明確に(12日付)
毎日
・危機の中で沈んだ民主(11日付)
読売
・指導力不足の民主に強い逆風(11日付)
日経
・民主への失望映した地方選(12日付)
東京
・政権党の存在感どこへ
・首都の将来像どう描く(11日付)
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