東日本大震災の被災者を支援する動きが広がっている。私も先週末、世耕弘成参院議員とともに支援物資をトラック2台に積み込み、福島県内の避難所を訪ねてきた。南相馬市から相馬市、新地町、福島市と回ったが、すさまじい津波が残した傷跡を目の当たりにして、言葉を失った。
自衛隊の諸君は黙々と物資を搬入して感謝されていた。イスラム教国のボランティアの方々は子供たちにゲームやお菓子を配り、母国語で「ありがとう」といわれていた。われわれも、地元の亀岡偉民前衆院議員らとともに、被災者の方々に支援物資を手渡した。
そして、避難所の方々から、じっくり話をうかがってきた。
福島県でのガソリン不足は深刻で、両親の葬式に行く燃料もなく、長時間歩いて出席した方がいた。避難所生活の疲れから仮設住宅を求める声も多かった。体育館の中で、お年寄りが体を横たえている姿には心が痛んだ。
新地町の避難所で話した、漁協組合長の言葉は今も心に響いている。
「今日女房の葬儀を終えました。いまできることは、気持ちの区切りをつけて、組合員や町のために頑張ることです」
区切りをつけると言っても、そう簡単なことではないだろう。
しかし、力強くそう言い切る組合長の姿に、天皇陛下が仰られた「被災者として自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさ」を見た気がした。
どの避難所でも、被災者の方々は礼儀正しく、秩序を守り、みんなで助け合って行動していた。私は「少しでも力になりたい」と思っていたが、逆に感動をいただいた。
それにしても、福島第1原発の事故は深刻さを増している。先日、米国防総省の元高官と会談したが、彼は現状を非常に厳しく見ており、「どうして、菅直人政権はもっと早く、わが米国に協力を求めなかったのか」と語っていた。
原発事故では「止める」「冷やす」「閉じ込める」が3原則だが、2週間以上過ぎても「冷やす」ことに手間取り、放射性物質は漏れ続けている。政府は自らの責任で事故を早急に収拾しなければならない。
こうしたなか、菅首相は大連立を目指して、わが党の谷垣禎一総裁に、副総理兼震災復興担当相での入閣を求めた。谷垣氏は拒否したが、私も「震災復興担当とは、首相自身がやるべき仕事ではないのか」と思った。
この国難にあたり、自民党は被災地支援や復興に関する政策・施策には全面的に協力している。これは当然のことだ。
国会から野党が事実上なくなり、緊張感ある議論が消える大連立を目指すのなら、菅首相には非常時のリーダーたるべき、責任感のある、真摯な姿勢が求められる。
(自民党衆院議員)
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110330/plt1103301621004-n1.htm