遺体の“永久保存”を強く主張。
【モスクワ=佐藤貴生】ロシア革命の指導者の遺体は首都モスクワの赤の広場にあるレーニン廟(びょう)で永久保存すべきだ-。そう訴えてきたレーニンの姪(めい)、オリガ・ウリヤノワさんが25日、モスクワで死去した。89歳。死因は公表されていない。
「レーニン最後の末裔(まつえい)」とも称されるウリヤノワさんの死去について、一部の露メディアが小さく伝えるのみで、革命の記憶はロシア国民にとっても歴史となりつつあるようだ。
ウリヤノワさんは生前、レーニンの遺体を赤の広場から別の場所に移送し、静かに眠らせるべきだという意見について、「くだらない考えだ」と一蹴。「みな平等だった栄光のソ連に戻りたい」と郷愁を語り、「強いロシアの再興」を掲げて登場したプーチン前大統領を支持していた。
レーニンが死去する2年前の1922年、レーニンの弟の娘として生まれた。モスクワ国立大卒業後、記者としてレーニンにまつわる150以上の記事や数冊の本を執筆した。
レーニンの遺体は化学処理を施して廟に安置されている。2月の世論調査によると、レーニンの遺体を「移送し埋葬すべきだ」との回答はこの4年間でやや増えて44%に上った半面、「観光名所なのでこのままで問題はない」(31%)、「遺体は廟に安置しておくべきだと確信する」(17%)といった回答もあり、“埋葬論争”はいまなお複雑な国民感情を呼び起こすテーマであり続けている。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110329/erp11032921020012-n1.htm