どこが陸地なのか…。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【東日本大震災】



そこにあるべきはずの住宅街は津波により一瞬で失われ、残されたのは基礎部分と大量の住宅の破片。多くは海水に覆われ、元の陸地がどこからだったのかさえすでに分からなくなっていた。眼前に広がる地震発生から1日を経たその光景は、自然の猛威という言葉で表すには、あまりにも凄惨(せいさん)なものだった。

 12日正午過ぎ、ヘリコプターで福島県から宮城県南部に抜ける道すがら、眼下に広がるのは被災地とはいえ典型的な山村風景だ。しかし、山を越え太平洋沿岸に出ると様子は一変する。そこにあったはずの住宅街はなく、あるのは大量の海水とそこに浮かぶバラバラになった家の破片。放置された乗用車が沈んでいる。

 もう何年も前から生物などなにも住んでいなかったかのようにも感じさせるほど、1日前まではあったはずの生活のかけらはみじんもなくなっていた。何キロにもわたり続く破壊された沿岸線を前に、何も言葉が出てこない。

 東北の空の玄関口だった仙台空港にも海水であふれ、滑走路の模様がその中に浮かぶ。周囲には多くの飛行機が放置され散乱していた。

 沿岸部の工業地帯からはいまだに火の手が上がり、不気味な黒煙が天をつく。街のあちらこちらにも煙がくすぶり焦土と化していた。搭乗したヘリコプター内部にまでその煙の臭いが入り込み、一層気を滅入らせる。

 北上川には茶色い濁流がうねり、川幅は倍以上、河口に至ってはそれ以上に広がり陸地を浸食している。川に面した住宅はどこも壊滅状態で、周辺の住民は高台の小学校などに避難。「SOS」「食料」「毛布1000枚」といったメッセージを校庭に書き、助けの手が来ることを祈っていた。




草莽崛起


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草莽崛起

航空自衛隊松島基地も津波の被害をうけ、全ての練習機が波に沈んだ

=12日午後、宮城県航空自衛隊松島基地(大山文兄撮影)



草莽崛起

グラウンドにSOSと書き、救助を求める人たち

=12日午前8時1分、岩手県陸前高田市(本社ヘリから、門井聡撮影)