【ワインのこころ】
2001年、初めてスペイン南部アンダルシア地方のヘレスを訪問したとき、ボデガ(醸造所)のオーナーたちが「シェリー造りで大事なことは、土壌、ぶどう、気候です」と語っていたのが印象的でした。
ラテン語で「白」を意味するアルバが語源のアルバリサは、シェリー造りに最高の石灰土壌です。降雨量は年間平均600ミリですが、アルバリサはスポンジ状に穴が開いていて保水性が高く、極端に雨が少ない年でも土中に水分をしっかりため込んでいます。
サンデマン社でアルバリサの土壌の感触を確かめました。踏むともろくて靴がチョークで真っ白になります。落とすときは、紙をぬらしてふくのが一番でした。
使用ぶどうはパロミノ、ペドロ・ヒメネス(PX)、モスカテル。パロミノは辛口に、PXとモスカテルは甘口タイプになります。パロミノがアルバリサの土壌と組み合わさると、もっともパワーを発揮するようです。
シェリーの生産地域は内陸の「ヘレス・デ・ラ・フロンテラ」、海寄りの「エル・プエルト・デ・サンタマリア」と「サンルーカル・デ・バラメダ」の三角地帯。なかでもサンルーカルで造られるマンサニーリャはフレッシュで軽く、ミネラル感があるので、若者や女性たちに好まれています。
「アルコール度数が高く、時代遅れ」というイメージが強かったシェリーですが、それらを払拭する好条件がそろいはじめています。マンサニーリャは新しいシェリーのイメージにぴったりのタイプといえます。
(ワインジャーナリスト 青木冨美子)
【ワインのこころ】真っ白なアルバリサの土壌とパロミノ種(青木冨美子さん提供)