リビアのデモ隊、治安部隊と衝突、
14人負傷 バーレーンでは「真珠広場」占拠。
【カイロ=黒沢潤】リビアの北東部ベンガジで16日、反政府デモ隊と警官隊が衝突、14人が負傷した。1月のチュニジアでの政変以降、リビアでの衝突が伝えられたのは初めて。ペルシャ湾の島国バーレーンでも民主化要求デモが続くなど、中東地域で民衆の抗議活動が広がりを見せている。
ロイター通信やアラブの複数メディアによれば、リビアのベンガジ警察署前に集まった約500人のデモ隊は16日未明、マハムーディ全人民委員会書記(首相に相当)の辞任や人権活動家の釈放などを訴え、警官隊に火炎瓶などを投げつけた。警官隊は催涙弾やゴム弾などで応戦、市民4人、警官10人が負傷した。
デモは16日昼現在、鎮圧されているが、同国では、インターネットの交流サイト「フェースブック」などを通じて17日の大規模抗議デモ実施が呼び掛けられている。
一方、リビア当局は16日、拘束中のイスラム過激派110人を釈放する。110人の所属組織が昨年、武装闘争放棄を宣言したためで、当局は拘束者を順次釈放していた。もっとも、デモ発生日に合わせた多数の釈放は過激集団への「懐柔」の意味がありそうだ。
また、フランス通信(AFP)によれば、バーレーンの首都マナマでは16日、イスラム教シーア派住民ら数千人が民主化を求めるデモを続けた。マナマでは15日夜、シーア派住民2人がデモで死亡したことに抗議し、数千人の住民が「真珠広場」を占拠していた。
2人の死亡を受け、下院(定数40)の18議席を占める野党勢力は16日、議員活動を停止すると発表。ハマド国王はテレビ演説で犠牲者に哀悼の意を示した。ラシド内相は同日夜、死亡事件にかかわった複数の警官を拘束した。
バーレーンではシーア派住民が全体の7割を占める多数派でありながら、ハリファ王家を中心とする少数派のスンニ派指導層から差別的な待遇を受けてきた。
シーア派住民の要求が満たされず、混乱が長引いた場合、スンニ派王室に不満を募らせる隣国サウジアラビアのシーア派住民をも刺激しかねない。
15日、バーレーン・マナマ西方で、デモ犠牲者の棺を運ぶ人々(ロイター)
15日、バーレーン・マナマの「真珠広場」に集まりアラブ伝統の水たばこを吸うデモ参加者(ロイター)
16日、バーレーンの首都マナマで、死亡した反政府デモ参加者のひつぎを運ぶ遺族ら(ロイター)
16日、バーレーンの首都マナマで、死亡した反政府デモ参加者のひつぎを、
葬式のため遺体安置所から運ぶ遺族ら(ロイター)