天皇陛下が検査でご入院
皇太子ご夫妻の英国は「順序」で決定
天皇、皇后両陛下は9日、来日中のウズベキスタンのカリモフ大統領夫妻と皇居・宮殿で会見し、続いて午餐(ごさん=昼食会)に臨まれた。午餐には皇太子さまと常陸宮ご夫妻も出席された。
この日の午後には、宮内庁から陛下の健康状態に関する発表があった。1月22日に東京大学医学部付属病院(東京都文京区)で行った健康診断の心機能検査の結果、激しい運動を行うと、陛下は動脈血の流れが減少し、心臓に必要な栄養や酸素が行きわたらない「心虚血状態」になられることが分かったというものだ。一般的に、症状が進むと、狭心症や心筋梗塞(こうそく)になる恐れがあるとされる。
陛下は皇后陛下とともに11日朝に東大病院をご訪問。心機能を詳細にみるため、「冠動脈造影検査」を受けられた。検査では、陛下の左手首から細い管(カテーテル)を入れ、心臓の周囲にある冠動脈の状態を調べた。幸いにして手術が必要な状態ではなく、投薬をお受けになりながら、当面経過観察を行うという結論に至った。
陛下は病院に1泊し、12日に退院される。建国記念の日の11日に恒例で行っていた皇居・宮中三殿参拝は取りやめられた。
宮内庁によると、現在のところ陛下には特に自覚症状はなく、今後のご公務日程の変更も予定されていない。日常的に行われている朝の散策やテニス程度の運動は問題がないとみられている。
これに先立ち、葉山御用邸(神奈川県葉山町)で静養していた両陛下は7日、帰京された。御用邸からの帰路には「シルク博物館」(横浜市中区)に立ち寄り、常設展をご覧になった。今回が初訪問となったが、同博物館は両陛下に縁のある場所でもある。皇居で養蚕に取り組んでいる皇后さまが、平成10年、同博物館の特別展に、繭や生糸の標本のほか、蚕について詠んだ御歌などを貸し出されているのだ。
館内には、繭から糸を取り出す体験コーナーがあり、陛下が皇后陛下に「やってみたら」と声をかけられる場面があった。皇后さまは「糸が切れたとき、つなぐのが大変」と言いながら、糸繰り装置のハンドルをゆっくり回され、にこやかに「陛下も」とバトンタッチ。皇后陛下から作業を引き継いだ陛下も笑顔でハンドルを回された。
タイのシリントン王女から寄贈されたタイシルクの前で陛下は「タイは普通の蚕ですか?」「タイで野蚕は?」と次々に質問されていた。
さて、健康管理のため、週末にテニスをすることが多い両陛下だが、葉山御用邸で過ごした先週末はプレーをされなかったという。宮内庁の風岡典之次長は7日の定例記者会見で、「テニスでも、という話はあったが、週末で場所の確保も難しいようで、結果的にされなかった」と説明した。葉山御用邸の中にはテニスコートがなく、プレーされる場合は周辺のコートを借りる必要があるという。
一方、皇太子さまは6日、赤坂御用地内でテニスをされたという。皇太子さまの週末の運動といえばジョギングが多く、側近も「週末にテニスをされることは珍しい」というが「週末以外の日はときどきされる」そうだ。
両陛下のみならず、皇太子殿下や秋篠宮さまも、テニスを熱心にされてきたことがわかるエピソードがある。昭和55年10月20日の産経新聞に載った皇后陛下の46歳の誕生日を伝える記事を振り返ってみよう。
当時皇太子妃だった皇后陛下は誕生日に先立つ記者会見で「最近、テニスでは浩宮(皇太子さま)、礼宮(秋篠宮さま)から相手にしてもらえなくなりました」と笑顔で語られた。またご一家のテニスの腕前について「東宮さま(陛下)と浩宮、礼宮が対戦すると勝ったり負けたり同じくらいです。私はもう1、2年のうち一緒にできなくなるのではないかと思いますが、一生懸命練習してダブルスだけでも一緒にしたいなあという気がします」と話された。
今も昔も、テニスは天皇ご一家にとって、欠かすことのできない健康法なのだ。
宮内庁の羽毛田信吾長官は10日の定例会見で、英王室のウィリアム王子とケイト・ミドルソンさんの結婚式(4月29日)の皇室からのご出席者を、皇太子ご夫妻で検討することになった理由を明らかにした。
羽毛田長官は「最初は(招待は)『両陛下に』というお話だったので、検討の順序としては、皇太子ご夫妻に行っていただくことをまずご検討いただくのがよろしいだろう、ということになった。両陛下が行かれることができないとなれば、順序としてはそういうことかなと」と、理由を説明。今回の判断に天皇、皇后両陛下のご意向があったこともあらためて述べた。
さらに、皇族としての立場がウィリアム王子と「釣り合う」とされる秋篠宮ご夫妻が選ばれなかったことについて、「そういうご招待というのは、結婚式をされる側の意向によって基本的に決まる。ご身位をそろえなきゃいけないという慣行があるわけではない。宮内庁的にもそうだし、外国の皇族の結婚式に、他の国から行かれるときもそう」と述べた。
羽毛田長官は、最初に英国王室側から誘いを受けた両陛下については、同じ時期に国内で重要な日程が検討されていることなどから、仮にご訪問の意思があったとしても、出席は難しかったとする認識を示した。
皇太子ご一家は5日、東京・銀座のデパート「松屋銀座」で、敬宮愛子さまが通う学習院初等科など、東京都内の私立小26校の児童の作品が出品されている「第26回東京私立小学校児童作品展」をご覧になった。ご一家は昨年2月にも同じ作品展を訪問されている。
宮内庁東宮職によると、学習院初等科の作品の統一テーマは「おばけ」。愛子さまが通われる3年生の作品は「やおやのおばけ」がテーマで、各児童が粘土で野菜やきのこのおばけを作った。
愛子さまはご自身の作品を丁寧に説明し、ご夫妻も熱心に聞かれたという。
普段、通学の際に愛子さまと付き添いの雅子さまは、途中の授業に間に合うよう通学されることがほとんどだが、この日は開店前に到着するよう、午前8時50分にお住まいの東宮御所を出発された。
デパートでの滞在は約1時間40分に及び、出発されたのは開店時刻を大きく回った10時45分ごろ。滞在時間が延びた理由は「楽しまれたから」(野村東宮大夫)とのことだった。
愛子さまは週明けの7、8日には体調不良で学校を欠席された。インフルエンザではなく、9日には通学されたという。
各宮家は今週もさまざまな公務を果たされた。
秋篠宮さまは7日、進化生物学研究所(東京都世田谷区)で生き物文化誌学会事務局会議に出席された。9日、手賀沼親水広場水の館(千葉県我孫子市)で、山階鳥類研究所平成22年度文部科学省科学研究費補助金(特定奨励費)研究成果発表会に臨まれた。10日、山階鳥類研究所(我孫子市)で、山階鳥類研究所平成22年度文部科学省科学研究費補助金(特定奨励費)研究調整会議に出席された。
秋篠宮ご夫妻は8日、コスタリカ訪問から帰国につき、武蔵野陵、武蔵野東陵(東京都八王子市)に参拝された。
常陸宮ご夫妻は8日、ホテルオークラ東京(東京都港区)で「日本デンマーク協会懇親会」に臨まれた。
桂宮さまは11日、63歳の誕生日を迎えられた。
高円宮妃久子さまは8日、国立新美術館(東京都港区)で、「シュルレアリスム展」開会式に臨まれた。