ハッピーマンデーの憂鬱。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 








【from Editor】



友人に1月15日生まれが2人いる。ひとりは成人(なると)、もうひとりは成次(せいじ)。1月15日は成人の日なので、前者はそのまま名前とし、後者は次男だったため、成人の成と次男の次を合体させ、名前としたのであろう。

 だが、いまは成人の日が何日なのかは決まっていない。祝日法が改正されて、成人の日は1月の第2月曜とされたからである。月曜日を祝日とすることで、土日月の3連休となり、日ごろお疲れの国民のみなさんに、大いに休暇をとっていただこうという、政府の有り難い思し召しによる改正だった。旅行業界や旅館業界も大いに後押ししたとか。

 これをハッピーマンデー制度というらしい。成人の日と同じように、10月10日の体育の日も10月の第2月曜になった。いずれも平成12年から実施されている。平成14年からは、7月20日の海の日、9月15日の敬老の日もそれぞれの月の第3月曜に変更になった。

 こうして月曜の祝日が増え、ただでさえ振り替え休日で、月曜が休みになるケースがあり、大学などでは、カリキュラムの作成に頭を悩ませているそうだが、それよりも問題なのは、祝祭日の意味が失われてしまっていることだ。

 1月15日は小正月であり、どんど焼きである。要するに、この日をもって正月気分は払拭だ。江戸時代は元服式の多くが小正月に合わせて行われ、若者は正月気分はもちろん、稚気を去り、大人としての自覚をもった。

体育の日は記憶に新しい東京オリンピックの開会式の日であり、戦後の日本の復興を象徴した日でもあった。海の日は明治天皇に、敬老の日は元正天皇に由来するとされる。こうした伝統があって、それぞれの日は祝日となっているのであって、3連休のための月曜日ではどうにもしまらないし、休みの意味を考えることもない。

 4月29日の昭和天皇の誕生日も、意味不明であった緑の日から、ようやく昭和の日と名称変更された。同じく明治天皇の誕生日である11月3日も、文化の日よりも明治の日とした方が元気だった明治時代を振り返るのにふさわしいではないか。

 戦後、われわれは多くの文化伝統を捨ててしまったが、日本の未来の活力を生み出すうえで、過去を振り返る重要性はさらに増している。

 成人の日に誕生日を迎えられなかった成人君や成次君の憂鬱は今年も深いのであった。(編集委員 大野敏明)