四島の不法占拠忘れるな。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





対露裏金問題



ロシアの排他的経済水域(EEZ)で漁業を行う日本の会社がロシアの警備当局者に裏金を提供したとされる問題で、水産庁は日露漁業交渉で決められた漁獲量を大幅に超過していたとし、漁業会社などを操業停止処分にする方針を示した。

 処分されるのは、北方四島の周辺海域などでスケトウダラ漁を行っている漁業会社3社と1社の役員1人だ。

 この問題は、漁業会社が国税当局に計約5億円の所得隠しを指摘されたことから発覚した。漁獲割当量の超過分を黙認してもらうための裏金だったとみられる。

 表面的な事実だけを見れば、漁業法に違反し、裏金提供は外国公務員への利益提供を禁じた不正競争防止法に触れる疑いがあろう。だが、日本の漁業会社だけを処分して済まされる問題ではない。裏金を受け取っていたロシアの警備当局者は共犯関係にある。日本は抗議の意思を示すべきだ。

 ロシアのEEZ内における日本側の漁獲割当量は、最近、ほとんど増えていない。決められた漁獲量を守っていては、漁業者は、生活が保障されないと訴えている。割当量の増加に向けた外交努力も求められる。

 そもそも、この問題の背景には、ロシアが旧ソ連時代から日本固有の領土である北方四島を不法に占拠している事実があることを忘れてはならない。

 各国が自国の沿岸から200カイリ(約370キロ)水域の漁業資源などの権利を主張する「200カイリ時代」に入った1977年、ソ連は四島周辺を一方的に漁業専管水域とした。

 日本はこれを認めず、漁業交渉は難航した。結局、領土問題を切り離し、四島周辺海域の日本の漁獲割当量を魚の種類別に決めるという形で決着した。

 この関係が今も続いている。一方で近年、ロシア側の四島周辺での横暴は目に余るものがある。

 平成18年、日本のカニかご漁船が貝殻島付近でロシア国境警備艇の銃撃を受け、乗組員1人が死亡し、船長らが連行された。昨年1月には、国後島沖で日本漁船2隻がロシア国境警備隊のヘリコプターから銃撃されている。

 今回、発覚した裏金問題もこれらの事件と無関係ではあるまい。一連の問題の根本的な解決のために、北方領土返還の動きを名実ともに強めていきたい。