【歌会始】皇居で「歌会始の儀」 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 




【歌会始】両陛下、皇族方のお歌。


 天皇、皇后両陛下、皇族方のお歌と、入選者らの歌は以下の通り(仮名遣い、ルビは原文のまま)。


天皇陛下


 五十年(いそとせ)の祝ひの年に共に蒔きし白樺の葉に暑き日の射す

 

皇后陛下

 

 おほかたの枯葉は枝に残りつつ今日まんさくの花ひとつ咲く

 

皇太子さま


 紅葉(もみぢ)する深山(みやま)に入りてたたずめば木々の葉ゆらす風の音(と)聞こゆ

 

皇太子妃雅子さま


 吹く風に舞ふいちやうの葉秋の日を表に裏に浴びてかがやく

 

秋篠宮さま


 山(やま)峡(かひ)に直(すぐ)に立ちたる青松の嫋やかなる葉に清(さや)けさ覚ゆ

 

秋篠宮妃紀子さま


 天(やま)蚕(まゆ)はまてばしひの葉につつまれてうすき緑の繭をつむげり

 

常陸宮さま


 中庭のにしきぎの葉は赤々と朝の光に燃えるがごとし

 

常陸宮妃華子さま


 新年のおせち料理にそへてもる南天の葉はひきたちてみゆ

 

三笠宮妃百合子さま


 ほどけしも巻葉(まきは)もありて今年(ことし)竹(だけ)みどりさやかにゆれやまぬかな

 

寛仁親王家長女彬子さま


 手に取りし青きさかき葉眼にしみて我が学び舎に想ひはせたり

 

高円宮妃久子さま


 新年(にひどし)にめでたく飾る楪(ゆづりは)の葉に若きらの夢たくしたり

 

高円宮家長女承子さま


 葉脈のしをり見つけし古き本思ひではめぐる初等科時代に

 

高円宮家次女典子さま


 雲のなき冬空さえて行く人の落ち葉ふむ音さやかに聞こゆ

 

高円宮家三女絢子さま


 風吹きてはらはらと舞ふ落葉手に母への土産と喜ぶをさな

 


 新年恒例の「歌会始の儀」が14日、皇居・宮殿「松の間」で行われた。今年のお題は「葉」。天皇、皇后両陛下、皇太子ご夫妻をはじめ皇族方のほか、天皇陛下のお招きで歌を詠む召人(めしうど)で、歌人の安永蕗子さん(90)、一般応募で入選した10人の歌などが、古式ゆかしい独特の発声と節回しで披露された。

 宮内庁によると、天皇陛下はご成婚50年にあたる平成21年の立春に皇后さまとまかれたシラカバの種から育った若木に、夏の暑い日の光が当たっている情景を歌にされた。

 皇后さまは、枯れ葉を枝に残したまま越冬したマンサクの木に、春先初めて黄色い花が咲いたときの喜びを歌に込められた。

 皇太子さまは、東京近郊の山に登った際、紅葉した木々の葉を揺らしながら吹き抜ける風の音を聞いた情景を歌に詠まれた。

 皇太子妃雅子さまは、長女の敬宮(としのみや)愛子さまが通う学習院初等科の校庭に立つイチョウの葉が、光を浴びて舞い落ちる美しさを表現された。雅子さまは病気療養中のため儀式は欠席された。

 一般からは2万802首が選考対象となった。入選者の最高齢は鳥取市の農業、森本由子さん(76)。最年少は兵庫県伊丹市の中学3年生、大西春花さん(14)。佳作には大阪府泉大津市の高校3年生、中村貴晶さん(18)ら計17人が選ばれた。

【歌会始】入選者などの歌。


【召人】

安永蕗子さん

山茶花の白を愛した母思(も)へば葉と葉のあひのつぼみ豊けし

 

【選者】

 岡井隆さん

銀杏(いちやう)落葉ふかくつもれる坂道をのぼりて行かな明日の日のため

 篠弘さん

白樺の若葉をぬらす昼しぐれ書き出さむわがことば立ちくる

 三枝昂之さん

哀楽の年々を積みあゆみゆく銀杏並木の今年の黄葉

 永田和宏さん

青葉(あをば)木(づ)莵(く)が鳴いてゐるよと告げたきに告げて応ふる人はあらずも

 

【入選者】(年齢順)

 鳥取県 森本由子さん

夕凪ぎを柿の若葉に確かめて灰七十キロ無事に撒き終ふ

 兵庫県 井上正一さん

電源を入れよと妻に声かけてわさびの苗葉に液肥を放つ

 山口県 岡本義明さん

草の葉の切れ端のこるシャワー室妻は夏日の草を刈りしか

 カナダ 粟津三壽さん

妻の里丹波の村の山椿カナダに生ひて葉をひろげゆく

 茨城県 丹波陽子さん

一字一字指しつつ読みぬ木簡の万葉仮名の「皮(は)留(る)久(く)佐(さ)乃(の)皮(は)斯(じ)米(め)」

 東京都 吉竹純さん

背丈より百葉箱の高きころ四季は静かに人と巡りき

 東京都 上田真司さん

ささやかな悲しみあれば水底に木の葉が届くまで待ちゐたり

 京都府 桑原亮子さん

霜ひかる朴葉拾ひて見渡せば散りしものらへ陽の差す時刻

 静岡県 中村玖見さん

駐輪場かごに紅葉をつけてゐるきみの隣に止める自転車

 兵庫県 大西春花さん

「大丈夫」この言葉だけ言ふ君の不安を最初に気づいてあげたい

 

【歌会始】来年は「岸」


 宮内庁は14日付で、来年の歌会始のお題を「岸」とする募集要領を発表した。一人一首、「岸」の字を使った未発表の自作に限る。

 書式は半紙(習字用)を横長に使い、右半分にお題と短歌、左半分に郵便番号、住所、電話番号、氏名(本名、振り仮名付き)、生年月日、職業を毛筆で縦書きし、山折りする。

 海外から応募する場合は用紙と筆記用具は自由(ただし用紙は半紙サイズの横長)。病気や障害などで自筆ができない場合は代筆やパソコンなどでの印字も認める。その際は別紙に自筆できない理由と、代筆の場合は代筆者の住所と氏名を記す。視覚障害者は点字での応募も可能。

 締め切りは9月30日(当日消印有効)。あて先は「〒100-8111 宮内庁」。封筒に「詠進歌」と書き添える。要領は宮内庁ホームページにも掲載している。





草莽崛起


      新春恒例「歌会始の儀」で、歌の朗詠を聞かれる天皇、皇后両陛下と皇族方 

      =14日午前10時55分、皇居・宮殿「松の間」






草莽崛起-天皇旗