中庭の東玄関から右の角を少し曲がったところにある階段を二階に上って行き、そこから左の長い廊下を真っ直ぐ歩いて行くと大きな扉がある。そこがこの学園の学園長室だ。
三人は、扉の前に立ちサンディが扉をノックする。少し間が空いたあと、中から「どうぞ」という男性の低い声がした。
サンディは、おそるおそる扉を開け中に入り、そのあとにエディーとランが続いて入る。
「昼休みに呼び出してすまないね。」
そこには、三十代後半のアッシュブラックの髪にグレイの瞳をした背の高い男性が一人立っていた。そう、彼がこの薔薇十字架学園(ローズクロスガーデン)の学園長、【ミゲル・アンルイス】である。
そして、彼の隣にはもう一人の男性が立っている。名は、【ジル・コーグリング】。彼は、魔術の講師でミゲルの秘書も担当している。三人は、ジルの授業を受けた事もあるため彼の存在は、知っている。だが、学園長のミゲルはあまり生徒の前に姿を出す事も少くなく三人も学園長であるミゲルの姿を見るのが今回が初めてだった。
「最初に聞きたいことがある。この学園には、何があるか知っているかな?」
ミゲルは、三人に質問をする。それを聞かれた三人のうち、サンディがとっさに答えた。
「【クロス】ですよね。」
「そう。その【クロス】が世界を滅ぼせる程の強大な力を持っていることは知っているよね。」
三人は、うなずく。
「今から言うことは、君たちを驚かせてしまうかもしれない。それでも聞いてくれるかい?」
「はい。」
三人が答えると、ミゲルは「よかった」と優しく微笑む。
それから、真剣な顏になり昨夜の出来事を話し始めた。
「実は、昨夜何者かに学園の結界が壊され【クロス】が盗まれた。」
三人は、驚く。
その表情を見たミゲルは、話しを続ける。
「これは、決してあってはならないことだ。私も結界には、充分注意していたつもりであった。今は、誰が盗んだのかはわからない。だから君たちには、この学園から特別任務を授ける。」
三人は、静かにうなずく。
「【クロス】を取り戻して来てほしい。」
「そんな!学園長、私たちは習ってない魔術や召喚がまだあるんです」
サンディの言葉にミゲルは、答える。
「だから、今日の召喚師のテストが終わったあと、ジル講師に教わってもらう。テストのあとの授業には、参観しなくて大丈夫だ。各講師には私から言っておく。」
三人の驚いた顏にミゲルは、再び優しく微笑んだ。
「頼んでもいいかい?」
三人は、それぞれの顏を見合わせる。しかし、その行動には無理もない。自分たちの闘いのスキルを考えれば、まだまだ少ないからだ。だが、【クロス】が盗まれたことに関しては、世界を脅かす大問題だ。何故、ミゲルが他の生徒ではなく自分たち三人に【クロス】が盗まれたことを話したのかは、わからない。しかし、頼まれた以上断ることはできない断る理由もない。
三人は、決心して「わかりました。」と答えた。
それを聞いたミゲルは、再び微笑んだ。
「道中は、危険が沢山ある。もし、自分たちの手に及べない魔物と遭遇したら無理せずに逃げなさい。いいね。」
「はい」
「では、気をつけて【クロス】を取り戻して来てくれ。昼休みももう終わる。せっかくの休みをこわしてすまなかった。」
ミゲルの苦笑にエディーが言った。
「学園長、必ず俺たちが【クロス】を取り戻します!」
「ありがとう。」
三人は、ジルとミゲルに頭を下げ順に部屋をあとにした。
扉が完全に閉まるのを確認したあとジルがミゲルに話しかける。
「本当によいのでしょうか?あの三人で」
ミゲルは、窓ガラスの前に立ち空を眺めながら答える。
「彼らなら大丈夫だ。必ず取り戻してくれると信じている。それに、道中の戦闘もいい勉強になるだろう」
ミゲルの言葉にジルは、苦笑する。
「彼らがまだ習ってない魔術を詳しく教えてやってくれ。」
「はい。」
「できれば、半日で。明日には、出発してほしい。」
無理なお願いにジルは、驚いた。
「半日でですか!?」
「【クロス】を何に使われるかわからない。できるだけ早くがいいんだ。無理なお願いだとはわかっている」
「わかりました。全力で彼らのサポートをします」
「ありがとう。頼むよ」
「はい」
ジルは、深々と頭を下げ静かに部屋を出た。
一人になったミゲルは、考えこみ、【クロス】を盗んだ者が誰なのか、彼には一つだけ心当たりがあった。
「【ブラック・ガーデン】」
その言葉を口にしたあと、彼の瞳は鋭く―細く光った。彼が言う【ブラック・ガーデン】が何なのかは、まだわからない。
これから始まる闘いがいかに危険なものか、あの三人はまだ知らない。青空が広がる中で闘いの時計は、静かに針を刻み始めた―。
(Next.)
三人は、扉の前に立ちサンディが扉をノックする。少し間が空いたあと、中から「どうぞ」という男性の低い声がした。
サンディは、おそるおそる扉を開け中に入り、そのあとにエディーとランが続いて入る。
「昼休みに呼び出してすまないね。」
そこには、三十代後半のアッシュブラックの髪にグレイの瞳をした背の高い男性が一人立っていた。そう、彼がこの薔薇十字架学園(ローズクロスガーデン)の学園長、【ミゲル・アンルイス】である。
そして、彼の隣にはもう一人の男性が立っている。名は、【ジル・コーグリング】。彼は、魔術の講師でミゲルの秘書も担当している。三人は、ジルの授業を受けた事もあるため彼の存在は、知っている。だが、学園長のミゲルはあまり生徒の前に姿を出す事も少くなく三人も学園長であるミゲルの姿を見るのが今回が初めてだった。
「最初に聞きたいことがある。この学園には、何があるか知っているかな?」
ミゲルは、三人に質問をする。それを聞かれた三人のうち、サンディがとっさに答えた。
「【クロス】ですよね。」
「そう。その【クロス】が世界を滅ぼせる程の強大な力を持っていることは知っているよね。」
三人は、うなずく。
「今から言うことは、君たちを驚かせてしまうかもしれない。それでも聞いてくれるかい?」
「はい。」
三人が答えると、ミゲルは「よかった」と優しく微笑む。
それから、真剣な顏になり昨夜の出来事を話し始めた。
「実は、昨夜何者かに学園の結界が壊され【クロス】が盗まれた。」
三人は、驚く。
その表情を見たミゲルは、話しを続ける。
「これは、決してあってはならないことだ。私も結界には、充分注意していたつもりであった。今は、誰が盗んだのかはわからない。だから君たちには、この学園から特別任務を授ける。」
三人は、静かにうなずく。
「【クロス】を取り戻して来てほしい。」
「そんな!学園長、私たちは習ってない魔術や召喚がまだあるんです」
サンディの言葉にミゲルは、答える。
「だから、今日の召喚師のテストが終わったあと、ジル講師に教わってもらう。テストのあとの授業には、参観しなくて大丈夫だ。各講師には私から言っておく。」
三人の驚いた顏にミゲルは、再び優しく微笑んだ。
「頼んでもいいかい?」
三人は、それぞれの顏を見合わせる。しかし、その行動には無理もない。自分たちの闘いのスキルを考えれば、まだまだ少ないからだ。だが、【クロス】が盗まれたことに関しては、世界を脅かす大問題だ。何故、ミゲルが他の生徒ではなく自分たち三人に【クロス】が盗まれたことを話したのかは、わからない。しかし、頼まれた以上断ることはできない断る理由もない。
三人は、決心して「わかりました。」と答えた。
それを聞いたミゲルは、再び微笑んだ。
「道中は、危険が沢山ある。もし、自分たちの手に及べない魔物と遭遇したら無理せずに逃げなさい。いいね。」
「はい」
「では、気をつけて【クロス】を取り戻して来てくれ。昼休みももう終わる。せっかくの休みをこわしてすまなかった。」
ミゲルの苦笑にエディーが言った。
「学園長、必ず俺たちが【クロス】を取り戻します!」
「ありがとう。」
三人は、ジルとミゲルに頭を下げ順に部屋をあとにした。
扉が完全に閉まるのを確認したあとジルがミゲルに話しかける。
「本当によいのでしょうか?あの三人で」
ミゲルは、窓ガラスの前に立ち空を眺めながら答える。
「彼らなら大丈夫だ。必ず取り戻してくれると信じている。それに、道中の戦闘もいい勉強になるだろう」
ミゲルの言葉にジルは、苦笑する。
「彼らがまだ習ってない魔術を詳しく教えてやってくれ。」
「はい。」
「できれば、半日で。明日には、出発してほしい。」
無理なお願いにジルは、驚いた。
「半日でですか!?」
「【クロス】を何に使われるかわからない。できるだけ早くがいいんだ。無理なお願いだとはわかっている」
「わかりました。全力で彼らのサポートをします」
「ありがとう。頼むよ」
「はい」
ジルは、深々と頭を下げ静かに部屋を出た。
一人になったミゲルは、考えこみ、【クロス】を盗んだ者が誰なのか、彼には一つだけ心当たりがあった。
「【ブラック・ガーデン】」
その言葉を口にしたあと、彼の瞳は鋭く―細く光った。彼が言う【ブラック・ガーデン】が何なのかは、まだわからない。
これから始まる闘いがいかに危険なものか、あの三人はまだ知らない。青空が広がる中で闘いの時計は、静かに針を刻み始めた―。
(Next.)