夕闇が静かにボクに忍び寄り
宇宙人みたいに長い影に宿るとき
世界を手にした朱いイノチが
母なる海にポタリと墜ちた
かえりたい かえれない
ずいぶん遠回りしてきたから
かえりたい かえれない
帰り道を忘れてしまったよ
ねぇ、君のいる暖かな食卓は幸せかい？
窓から漏れる灯りがボクを惑わせる
君の家族がボクを迎え入れてくれるといいなって
少しだけ そう思うんだ
宵闇が優しくボクを迎え入れて
かじかむ足元に小さな星を落とすころ
母の胸のように膨らんだ
やわらかな月がボクにほほ笑んだ
おかえりなさい ありがとう
母の囁きは細波のように
おかえりなさい ありがとう
ボクの疲れた体にそっと染み渡る
ねぇ、いつか見た君もここにいたんだね
あの日の幻はボクの記憶の中
諦めたはずの家族の優しいぬくもりが
いまここで ボクを満たすんだ
ずっとここにいたんだね
ずっと君といたんだね
ガラスに隔てられた君の安心しきった笑顔は
鏡越しのボクだったんだ
おやすみなさい ありがとう
潮騒は子守唄のように
おやすみなさい ありがとう
ボクを優しく揺らす
新しい朝が目覚めたらボクはまた家を飛び出すけど
もう大丈夫だよ
家族が見守っていること ボクは知っているから