ナイロビの蜂
≪公開時コピー≫地の果てで、
やっと君に帰る。
製作国:イギリス
製作年:2005年
公開年:2006年
【監督】 フェルナンド・メイレレス
【製作】 サイモン・チャニング・ウィリアムズ
【出演】 レイフ・ファインズ (ジャスティン・クエイル)
レイチェル・ワイズ (テッサ・クエイル)
ユベール・クンデ (アーノルド・ブルーム)
ダニー・ヒューストン (サンディ・ウッドロウ)
ビル・ナイ (サー・バーバード・ペレグリン)
ピート・ポスルスウェイト (ロービア)
ジェラルド・マクソーリー
ジュリエット・オーブリー
リチャード・マッケーブ
アーチー・パンジャビ
【Zero的評価】 200円
【リピート率】 ★★
【見所】 テッサのムダなお色気およびビル・ナイの腹黒ぶり
【鑑賞本数】 年間:64作目 通算:360作目
【 感 想 】
お子ちゃまな自分には何がなんだか。陰謀がめぐらされすぎていてさっぱりついていけなかった。「愛の話」と耳にしていたが、サスペンス色が強い印象。
与えられた仕事を淡々とこなし、趣味はガーデニング。正義という言葉には無縁のように見えるジャスティン。外務省一等書記官という立場を考えると、人畜無害そうなゆるい人間は必要だろうと思ってみる。
そのジャスティンの妻が、全く真逆のあふれんばかりのやる気にみなぎったテッサというのが、意外でもあるが、人は自分にないものを求める傾向がなくはないので、納得できたりもする。
アフリカという地を舞台に、先進国が人道支援だといっても、素直に慈善事業と思えるほど幼くはなくて、映画の中の話のように利害はからんでいるだろう。と、斜にかまえてしまう。世の中には純粋に、利害や名誉ではなく「助けたい!」という気持ちで動いている人がいるのは頭で理解しているけど、実感がない。だから、余計にテッサの行動がしっくりと思えなくて、何故?と思ってしまう。
テッサの正義感が少し、脈略なく唐突な印象があって、現実味がない感じがした。女特有といえばそうかもしれないけれど、自分は役に立つ人間であるべく、ジャスティンと結婚し、外務省書記官の妻という立場を利用して、正義をふりかざしてみるものの、被害だけが大きくて、中身が伴っていないようにしか見えなかった。
個人的に大好きなビル・ナイが、これまた、大好き感じの男を演じていたことだけが好印象。さすがサーの国イギリス出身の俳優だけあって紳士。でも、腹は黒い辺りが、絶妙に好みのツボです。
ジャスティンのテッサへの思いには愛を感じられるが、テッサのジャスティンへの愛が今イチ。お子ちゃまには利用しているだけにしか見えませんでした。
いまだにすっきりしないのは結局、誰が「悪」なのかということで、中途半端にドラマとサスペンスをくっつけて謎を明かさないのはやめて欲しい。
インファナル・アフェア3 終極無間
≪公開時コピー≫その謎は、まだ解かれていない
製作国:香港
製作年:2003年
公開年:2005年
【監督】 アンドリュー・ラウ
アラン・マック
【製作】 アンドリュー・ラウ
【出演】 アンディ・ラウ (ラウ)
トニー・レオン (ヤン)
レオン・ライ (ヨン)
ケリー・チャン (リー)
アンソニー・ウォン (ウォン)
エリック・ツァン (サム)
チャップマン・トウ (キョン)
サミー・チェン (ラウの妻マリー)
ショーン・ユー (若き日のヤン)
エディソン・チャン (若き日のラウ)
カリーナ・ラウ (サムの妻マリー)
チェン・ダオミン (シェン)
【Zero的評価】 320円
【リピート率】 ★
【見所】 ラウの狂いっぷり。もしくは、ヨンの頭脳明晰ぶり。
【鑑賞本数】 年間:63作目 通算:359作目
【 感 想 】
インファナル・アフェアは1が秀逸だった分、1を補足するようなシリーズ展開が興醒めした。せっかく男臭いハードボイルドな世界観が完成しているのだから、女にまつわるエピソードをさしこむ必要なないし、そうすることで、嘘くさい、うすっぺらい作品になってしまった気がしてならない。
ラウのその後は気にはなるが、後付っぽくて、気に入らない。苦悩は苦悩として、ラウの中でだけとっておけば十分だと思ってしまった。自分が悩んでいること、苦しんでいることを表に見せるやり方が露悪主義で、ナルシストで気持ち悪いと思うのは女だからか。
ヤンになりたかった。でも、なれないのが現実で、マリーを思い切れなくて同じ名のマリーを妻にする。ヤンになった気持ちでリーを想うラウがひどく女々しく苛立ちを感じる。
マフィアである後ろ暗さや、裏切っている後ろめたさ。そんなものには形は違えど、誰にでもあることで、出自や組織なんてものは所詮ただの外面でしかない。本人が警察官として生きることを決めたのであれば、後はそれをまっとうすればいいだけだし、妻のマリーと共に生きることを決めたのであれば、そのための努力をすればいい。過去に対する言い訳なんていらない。反省は必要だが、後悔は鬱陶しいだけだ。
エリート捜査官ヤンに対する疑惑は、ラウの背景にあるモノの重さを考えると、いたしかたないのかもしれない。極限に追い込まれれば、ヒトは狂うものなのかもしれない。自分が潜入マフィアを次々と始末したように、明日は自分が始末されるかもしれない恐怖。自分がマフィアであることを警察に知られれば、自分の立場も 危うい。そういう綱渡り的な事実がラウを追い込むということも頭ではわかるが、気持ち的に納得はできない。
死んだ者の悪事を暴き、かつ、美談を作り上げるなんてことは、日常によくあることではあるが、何もわざわざ完成度の高い作品を貶めるような作品を作らんでもよかろうに…。
ワイルド・レーサー
≪公開時コピー≫製作国:ドイツ
製作年:2004年
公開年:未公開
【監督】 ミヒャエル・ケウシュ
【製作】 オリヴァー・ベルビン
ロバート・クルツァー
【出演】 ルーク・J・ウィルキンス (カール)
ニルス・ブルーノ・シュミット (ヌート)
マニュエル・コルトス (ブルーノ)
クリスチャン・エリク・キーリング (エディ)
イヴォンノ・シェンハー (モニ)
コレン・フェルナンデス (ニナ)
フランツ・ディンダ (アレックス)
トーマス・ハインツォ (シュミット・ヤンケ)
アレクサンドラ・ネルデル
【Zero的評価】 320円
【リピート率】 ★★★
【見所】 ストリートレースときれいなお姉ちゃん
【鑑賞本数】 年間:62作目 通算:358作目
【 感 想 】
個人的にライトな作りのカーアクションは好物で、そこに警察モノが絡めばもっと好物ではあるが…。なんともいえないビミョーな作品。アメリカ映画と思い込んでいたら、ドイツ映画だったというのも、また、ビミョー。とはいえ、全体的にゆるくて、ぬるくてお馬鹿な作品で、期待さえしなければそれなりに楽しめる。
主人公が刑事で潜入捜査というのが、「ワイルド・スピード」の二番煎じにも受け取れなくはないが、もっとお馬鹿方面の作品。ハリウッド映画にありがちなお金のニオイがして、一方的に偏ったかっこよさはない。「かっこいい」オレな人物もでてくるが、かっこよさのベクトルが、マニアックで苦笑いしてしまう感じ。決して、ワールドワイドな視点で作られた作品ではない。ドイツ人が見て、楽しめればいいさ。という印象はある。
どこの国にも走り屋さんは存在していて、車のかっこよさや速さを競う輩が存在していて、そこに群がる女がいるという描写が個人的にウケた。特別、そういう人たちをバカにするつもりも、否定する気持ちもないが、「走り屋」は映画やテレビが作り出すのか、自然発生するのか純粋に興味は抱く。どちらかというと後者…なのかな?
いかにかっこいい車に乗って速く走れるかが楽しみというシンプルな精神構造だけに根は悪い人ではないと思ってはいるが、ワイルド・レーサーの走り屋さんたちは、底抜けに明るくて、面食らわなくもない。走り屋さん映画に必ずといっていいほど「影」を背負った人物が現れるのが、一般的と思い込んでいるだけではある。
走り屋さんたちがムダにイケメンで、その上個性的で、なんだかなとは思うが、所詮、映画だ、作りものだと思えば、こんなものかもしれない。
正直、面白かった!!とか、心に残るものは、まったくといっていいほどなかったが、暇つぶしにはなった。オススメはできないが、車好きなら、見てみれば?ぐらいのスタンスの作品でした。
アンジェラ
≪公開時コピー≫出逢うはずはなかった
君は天使
製作国:フランス
製作年:2005年
公開年:2006年
【監督】 リュック・ベッソン
【製作】 リュック・ベッソン
【出演】 ジャメル・ドゥブーズ (アンドレ)
リー・ラスムッセン (アンジェラ)
ジルベール・メルキ (フランク)
セルジュ・リアブキン (ペドロ)
ローラン・ジュムークール
【Zero的評価】 1800円
【リピート率】 ★★★★★
【見所】 フランスの美しさ。
【鑑賞本数】 年間:61作目 通算:357作目
【 感 想 】
6年ぶりにメガフォンを取ったベッソンの新作。期待半分、不安半分な気持ち。蓋をあければ、映像の美しさは相変わらず健在で、何よりも「フランスを好きだ」という愛国心の強さが映像ににじみでていて、参りましたな気分になる。
人々が病んでいるこの時代にあえてわざわざこのテーマを選んだのは、勇気のいることだと思う。メッセージを込めすぎると鼻白むし、かといって映像美に走ると半端になるだろうし。すべてにおいてコントラスト比が絶妙で、リュック・ベッソンのバランス感覚だけは誰にもマネできない。
好きか嫌いかでいうと、嫌い。の部類に入る映画だが、その原因は主人公のアンドレと自分がかぶって、要はただの同属嫌悪。アンドレのように自分の行為に対して責任を取らず、口八丁でその場逃れをして、尻に火がついた状態なのに、この状況に誰も手を貸してくれない現実にイラついて、そんな自分が大嫌いだけど、死ぬ勇気もないぐずぐずした人間が生息している。
アンジェラのように救いの手を差し伸べて欲しい。と、ないものねだりで願っている。でも、実際にアンジェラが現れても、プライドが邪魔して素直になれないことも知っている。自分を変えられるのは、人ではなく「自分」。ちょっとの勇気を出して、大嫌いな自分そのものを受け入れなければいけないことも知っている。
アンドレの精神構造は「自信のなさ」の現われで、そういう人間に「自信を持て」とか、「自信は自分で作るもの」と言ったところで、できたら苦労していませんという話。
頭では理解していても、本能が自分を愛するという行為を拒否していて、物理的、精神的に自分を痛めつける行為のほうが気持ちよくて、そういう精神的負の連鎖を止めるのは、思っていても思っていなくても、鏡の中の自分にむかって「愛している」と言う行為なのかもしれない。
どうせ自分なんて…と、少しでも思う人には勇気を分けてもらうことができるかもしれない。
ICHIGEKI 一撃
≪公開時コピー≫沈黙はついに破られた!
製作国:アメリカ
製作年:2004年
公開年:2005年
【監督】 レオン・ポーチ
【製作】 フランク・ヒルデブランド
ジェームズ・A・ホルト
ジーナ・ポーリー
【出演】 スティーヴン・セガール (ウィリアム・ランシング)
ニック・ブリンブル (ミスター・エルギン)
ハンナ・ドゥノースカ (ロジー)
ロビー・ギー (ルイス・モートン)
オラ・ハムカロ (カーチャ)
フランク・ヒルデブランド (郵便局長)
ヤン・ヤンガ-トマスツェウスキ (ポール叔父)
クラウディア・ヤカチャ (ペトラ)
ショーン・ローレンス (ステファード)
アイダ・ノヴァクスカ (イレーナ)
クシシュトフ・ピチェンスキ (イボー)
ヤン・プラザウスキ (ニッキー)
アグニェシュカ・ヴァグネル (カーシャ・ラトー)
マット・シュルツ (ファイザル)
ミュラー・イルマズ (アジーミー)
【Zero的評価】 200円
【リピート率】 ★★★
【見所】 セガールのアクション
【鑑賞本数】 年間:60作目 通算:356作目
【 感 想 】
スティーブン・セガール出演作品は気持ちがいいほどワン・パターンで、目新しさはほとんどないが、だからこそ見られる安心感がある。「大好き」ではないが、極まれに無性に見たくなる。
政府機関の元エージェント、ウィリアム・ランシング。カナダの山奥で、自然を相手にひっそりと暮らす男。スティーブン・セガールの演じる役は割とこんな雰囲気ばかりだが、仙人めいた役が似合うのでよしとする。楽しみはワルシャワの孤児院に暮らす少女イレーナとの文通。元エージェントならではのクイズや暗号を交えた文通のやりとりが、きちんとストーリーに織り込まれている。定石通りで、見逃せない。見逃してもそれなりに楽しめるし、ワン・パターンとはいえ、ワン・パターンだからこそ、見る楽しみがあるのも事実。
イレーナ役のアイダ・ノヴァクスカ。どんな状況でも取り乱すことなく、冷静に観察し、時に機転を利かせる。ランシングが助けてくれると無条件で信じている姿が、個人的に納得はいかないものの、凛としていて、賢くて、かわいらしい。
悪の大親玉ファイザル演じる。マット・シュルツ。この人はホントに悪人がハマる。小憎たらしくて、人の皮をかぶった悪魔のような役を、むしろ楽しげに演じているように見える。役を離れた姿に興味があるが、実生活でもあの性格ではないだろう…。
映画で社会的な問題を取り上げて、認知させるというのは使い古された手法ではあるが、「一撃」に関しては、興味本位に中途半端なネタとして使うより、もう少し深く掘り下げるものがあってもよかったと思う。このライトな感じがセガールらしいとは言えるけれど。
年の割り(撮影当時53歳)にキレのいい動きでアクションは楽しませてもらったのでよしとしますが、スティーブン・セガールはそろそろ「かっこいい俺。」「活躍する俺。」「悪を倒す俺。」から離れてみてはいかがでせうかと思ふ。それ以外で、はまる役は思いつきませんが…。
アメリ
≪公開時コピー≫幸せになる
製作国:フランス
製作年:2001年
公開年:2001年
【監督】 ジャン=ピエール・ジュネ
【製作】 クローディー・オサール
【出演】 オドレイ・トトゥ (アメリ・プーラン)
マチュー・カソヴィッツ (ニノ)
ヨランド・モロー (マドレーヌ・ウォラス)
ジャメル・ドゥブーズ (リュシアン)
フローラ・ギエ (アメリ / 8才)
イザベル・ナンティ (ジョルジェット)
ドミニク・ピノン (ジョゼフ)
リュファス (ラファエル・プーラン)
アルチュス・ド・パンゲルン (イポリト)
ウルバン・カンセリエ (コリニョン / 食料品店店主)
モーリス・ベニシュー (ドミニク・ブレトドー)
クロード・ペロン
ミシェル・ロバン (コリニョンの父親)
クレール・モーリエ (シュザンヌ)
クロチルド・モレ (ジーナ)
セルジュ・メリン (デュファイエル老人)
ロレーラ・クラヴォッタ (アマンディーヌ・プーラン)
アルメレ
アモーリー・バブー (ニノ / 子供)
ジャン・ダリー (盲いた老人)
ティッキー・オルガド (写真の男)
【Zero的評価】 1000円
【リピート率】 ★★★
【見所】 アメリの「好き」なこと
【鑑賞本数】 年間:59作目 通算:355作目
【 感 想 】
パッと見た印象はいかにも女の子が好きそうな映画。アメリは妖精のような不思議さがある。女特有のイヤらしさがなく純粋で無垢のような存在。メルヘンっぽい要素は多分にあるのに、メルヘンにもファンタジーにもよらず、嫌悪感を抱かずに見ることができる。全体的に甘いテイストにあふれているが、時にシニカルにコミカルにリズム良く見せていてバランスがいい。正直、「キャラじゃないし」と敬遠していたが、何事も見てみるモノである。
アメリの好きなことが、どれも些細過ぎて、ほんわかとした気持ちになる。小さな「好き」を大事にしているところが、年の割りに子供くさいようにも思えるが、「好き」なものを「好き」と言える真っ直ぐさが少しまぶしくもある。時々、見せるはにかんだ表情がとても可愛らしい。
イタズラ好きで、悪いイタズラもあれば、かわいいイタズラもあり、他人をちょっぴり幸せにしたり、弱いモノいじめをする人をこらしめたりもする。寂しさや哀しみを持った人に、幸せのおすそ分けをする姿は、ヒトというより、おとぎ話の妖精のようでもある。
登場する人物は、一人一人が個性的でちょっと変わっていたりもするけれど、ヒトと違うことが当たり前だという空気が気持ちいい。出る杭は打たれるではないが、ヒトとちょっとでも違うことをすると「変人」扱いされがちだから、「個性的」として人格を認め合う世界は見ていても気持ちいい。
誰も彼も不器用なのが基本仕様なのだから、器用に立ち回らずともどんくさくても、自分の思いをぶつけて、自分が幸せになれればそれでいいのかなとも思う。幸せをどういう尺度で測るかなんてことは、その本人にしかできないけれど…。
ともすれば、ヒトの目や気持ちばかりに目がいって、自分の気持ちを後回しにしがちだけれど、自分の気持ちに向き合うことも必要。自分に対して素直であれるということが、難しいけれど、絶対ブレてはいけないことなのかもしれない。
花よりもなほ
≪公開時コピー≫仇討ちだよ、
全員集合!
製作国:日本
製作年:2006年
公開年:2006年
【監督】 是枝裕和
【出演】 岡田准一 (青木宗左衛門)
宮沢りえ (おさえ)
古田新太 (貞四郎)
國村隼 (伊勢勘)
中村嘉葎雄 (重八)
浅野忠信 (金沢十兵衛)
原田芳雄 (小野寺十内)
香川照之 (平野次郎左衛門)
田畑智子 (おのぶ)
夏川結衣 (おりょう)
石橋蓮司 (青木庄三郎)
上島竜兵 (乙吉)
木村祐一 (孫三郎)
平泉成 (善蔵)
千原靖史 (留吉)
加瀬亮 (そで吉)
寺島進 (寺坂吉右衛門)
絵沢萠子 (お勝)
【Zero的評価】 1800円
【リピート率】 ★★★★★
【見所】 背中で語る進之助
【鑑賞本数】 年間:58作目 通算:354作目
【 感 想 】
「誰も知らない」の是枝監督の新作は、コメディ・タッチのライトな時代劇だった。
とある江戸の長屋を舞台に広げるストーリーはやや詰め込みすぎの感もあるけれど、ゆらがない一本の柱があるので、散漫には感じなかった。
とにもかくにも、ユーモアで笑いにあふれて終始笑いっぱなしだった。人の仕草や言い間違い、勘違いを笑いで見せる監督のセンスはすごいの一言に尽きる。現実の厳しさと人の優しさのバランスが絶妙で、人が好きなヒトが作った映画だと思った。
個性的な役者と役柄なのに、誰かがとびぬけていたり、へこんでいたりしていなくて、演じる人が楽しんでいたのが伝わってくる。演じる側が楽しいだけの映画ではなくて、楽しんで観る者を楽しませようとしているのがすごい。男でも、女でも、大人でも、子供でも、皆がくすりと笑えるような「笑い」を盛り込んでいて、年を経てみても、違った楽しみ方ができるような強さがある。
岡田准一演じる宗佐は敵持ちの身。父を殺した男を捜し、殺さねば生まれ故郷にも帰れない。武士の子なのに満足に刀も扱えず、寺子屋で生計を立てる。「敵討ち」を時代にそぐわないと考えている節が見え隠れする。仇の相手は探しているが、「敵討ち」という不毛な人殺しの悪循環の本質をどこかで見極めているようにも思えなくもない。
笑いの後ろにあるのはシュールな現実。嫁は欲しいが自分の食い扶持もままならに現実をボヤきあう若人たち。武士のはしくれとなったものの、百姓あがりとバカにされ必死に武士で有り続けようとする男。まるで、現代を置き換えたような人物設定。時代考証が・・・と考えるだけ野暮な気がしてくる。時代は異なれど、悩み傷つき立ち止まり、そうやって一日一日を生きているのは同じだろう。
是枝監督は、人のふとした瞬間のきれいな表情をとらえるのがうまい。所々でなんともいえないいい表情を見せる役者達。本当に人が好きな監督なのだとしみじみと思う。
ブレイブ
≪公開時コピー≫勇気を伝えたい
製作国:アメリカ
製作年:1997年
公開年:1998年
【監督】 ジョニー・デップ
【製作】 チャールズ・エヴァンス・Jr
キャロル・ケンプ
【出演】 ジョニー・デップ (ラファエル)
マーロン・ブランド (マッカーシー)
エルピディア・カリーロ (リタ)
マーシャル・ベル (ラリー)
フレデリック・フォレスト (ロー)
ルイス・グズマン (ルイス)
クラレンス・ウィリアムズ三世 (ストラットン神父)
マックス・パーリック (ジュニア)
フロイド・レッド・クロウ・ウェスターマン (ラファエル父)
コディ・ライトニング (フランキー)
ニコル・マンセラ (マルタ)
イギー・ポップ
【Zero的評価】 100円
【リピート率】 ★★★
【見所】 不条理さ。
【鑑賞本数】 年間:57作目 通算:353作目
【 感 想 】
後味の悪さが尾をひく映画。ジョニー・デップの初監督作品であると共に、自らのルーツであるネイティブ・アメリカンをモチーフにした作品。
アメリカにおけるネイティブ・アメリカンの待遇の現状を知らないので、どう受け止めればいいのか戸惑う。作り物の世界として受け止めるにしても残酷な現実である。
水道も整備されていない不毛な地へと追いやられ、貧しい生活を強いられている。仕事もなく、暮らすこともままならない。自分の将来も、子どもの未来も見えない闇のような世界がある。背負っているモノの重さと暗さとは裏腹に、アメリカの片田舎の地は底抜けに晴れていて、空の青さが目に染みる。そのギャップに魂をつかまれたように胸が痛む。
好き好んでネイティブ・アメリカンに生まれたわけではないのに、出自うんぬんというだけで、まともな職につけず、未来などほとんどないに等しい。それでも、生きなくてはならない。食うに困らず、住むに困らない者のおごった心なのかもしれないが、傍観しているだけで後ろめたい気持ちを抱く感情はとめられない。
家族を養うためにスナッフ・ムービー(実際に人を使い、殺されていく過程をフィルムに収める映画)への出演を決め、大金を手にするラファエル。家族にも、誰にも事実を語らず、残された7日間を家族と過ごす。家族を生かす為に自分の死を選ぶ。自ら決めたことではあるが死の恐怖はある。誰にも胸の内を明かさず、そぶりも見せないラファエルが痛々しくて苦しくなる。妻や子どもにいい思い出となるように振舞う。妻のリタは何かを察するが、何も出来ない。息子に母親と妹を頼むと、息子も何かを悟る。言葉には出さなくても、何かを受け取る家族がやるせない。
世の中のアンフェアさに腹立たしくなり、何も出来ない無力さに悔しさと苛立たしさが募る。ラファエルが逃げないよう監視し、いたぶるマッカーシーの残酷さが何かの象徴のようでもあり、不気味である。
(ハル)
≪公開時コピー≫まだ見ぬあなたに、
恋してる。
製作国:日本
製作年:1996年
公開年:1996年
【監督】 森田芳光
【製作】 鈴木光
【出演】 深津絵里 (ほし / 藤間美津江)
内野聖陽 (ハル / 速見昇)
山崎直子 (ハルの元恋人)
竹下宏太郎 (戸部正午)
鶴久政治 (ローズの婚約者)
宮沢和史 (山下博幸)
戸田菜穂 (ローズ)
【Zero的評価】 320円
【リピート率】 ★★★
【見所】 そんな時代もあったけ的なパソ通
【鑑賞本数】 年間:56作目 通算:352作目
【 感 想 】
公開当時、結構、話題を集めていた記憶がある。パソコン通信を題材にしたラブ・ストーリー。物足りなさはあるが、今、観ても十分見応えのある作品。題材が時代の流れに負ける内容だけに、飽きるかと思っていたので意外だった。ストーリーがしっかりしていれば、時代を問わないものだと思ってみる。
「ほし」と「ハル」。顔も声も知らない相手。だからこそ、本音が言える。根っこが真面目な二人は顔が見えないネットの中に人間に誠実に、素直に丁寧に接する。インターネットが普及し、何かと問題視されている今とは明らかに違う。ゆったりとした時間が流れている。ほしとハルのような優しい柔らかい空間も作れる。結局は使う側の心の持ちよう次第ということを思い出させてくれる。
大切な人を失い心にポッカリと穴のあいたほし。職を転々とし、極端に人付き合いを避け、一人でいることが楽であるかのようにふるまうが、心に負った傷は血を流し続けている。深津絵里の持つ寂しげな雰囲気とほしの役柄はうまくかみあっている。ほしの妹ローズ演じる戸田菜穂も妹らしい奔放さをキュートに演じていて、キャストがうまいと思った。
けがで夢をあきらめ、心の底であきらめきれずにうだうだしているハル。少しの嘘をついて、自分を大きく見せようとするが、次第に等身大の自分へとなっていく。女の前女々しい所を見せたくないと鎧を着込んでいたが、ほしの文章に心動かされ、悩みや弱みを見せていく。同時にほしに興味を持ち、ほしの力になりたいと思うようになる。内野聖陽もいい味を出している。
文章だけで伝えることは至難の技で、些細な言い回しやすれ違いがおきやすい。だけど、そこに誠実さがあって、相手の意を汲もうとする心があれば伝わるものもある。言葉-というより、文章―の強さを改めて思った。伝えたい気持ちがあれば、必ず伝わる。ありきたりなことだが、文章を書きすぎて忘れがちな思いを、思い出させてくれる。
エンジェル・アイズ
≪公開時コピー≫“まなざし”の先にあるもの。
それは、ふたりの過去の秘密を解くカギ。
製作国:アメリカ
製作年:2001年
公開年:2002年
【監督】 ルイス・マンドーキ
【製作】 ブルース・バーマン
マーク・キャントン
エリー・サマハ
【出演】 ジェニファー・ロペス (シャロン)
ジム・カヴィーゼル (キャッチ)
ジェレミー・シスト (ラリー)
テレンス・ダッション・ハワード (ロビー)
ソニア・ブラガ (ミセス・ポーグ)
ヴィクター・アルゴ (ミスター・ポーグ)
モネット・メイザー (キャシー・ポーグ)
シャーリー・ナイト (エラノラ・デーヴィス)
【Zero的評価】 320円
【リピート率】 ★★★
【見所】 「人」になっていく過程
【鑑賞本数】 年間:55作目 通算:351作目
【 感 想 】
過去とけりをつける事と、成人してからの家族のつきあい方は一筋縄でいかないと思った映画。踏み込み方、距離の取り方に思いを馳せた。
主人公のシャロンはシカゴ警察の制服警官。女だてらに危険を省みず、いつも気を張ってストイックに自分を追い詰め、仕事に打ち込み、自分の楽しみは後回しにしてしまう所がある女性。過去に受けたトラウマにむきあうことを避け、違うことに打ち込むことで気を紛らわせようとしている。それが美しさに拍車をかけているが、ピンと張り詰めた糸のように何かの衝撃でプツリと切れそうな危うさと痛々しさもにじませている。もう少し肩の力を抜けばいいのにと傍目にハラハラする。シャロンの彼氏キャッチは記憶喪失で自分が何者であるかがわからない。何もない自分を空しく思っているようでもあり、満足しているようでもあり、つかみ所がない。
二人には共通点があり、だから、惹かれあったのかもしれない。どちらも心に傷を負っており、傷にむきあい、一度ふさがった傷が開き、血を流したり、痛い想いをしたりすることを恐れて、その傷から目を背けている。だけど、お互いに大事に思うから、真実にむきあうことをすすめる。例え、恋人であっても入って欲しくない領域はある。そこに踏み入れられると怒りを感じるが、結果としてそのおかげで乗り越えられるモノがある。問題を抱えたまま、互いを責め合って奈落の底に落ちていくようなつきあい方ではなく、問題を提示して、解決して、自分達が幸せになる為に生きようとする姿が見ていて気持ちいい。
シャロンもキャッチも、互いに出会うまでロボットのように、無感情で無感動な人間。それが、徐々に感情や感動を取り戻し、「人」になっていく。幸せも不幸せもそれを決めるのは自分次第でしかなく、自分で生きようとしないともぬけの空でしかないと思ってみる。
すごく面白い映画ではないが、不思議な空気が漂っており心地いい余韻が残った。
