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18世紀末、コヴェント・ガーデン劇場で「流行に乗った恋」というお芝居が行われた。
主役をつとめる予定だったジョージ・フレデリック・クック氏はへべれけに酔っぱらって出場不能となり、そのおかげで演劇史上まれな主役抜きの芝居が実現することとなった。
出演者たちは、この芝居でさかんに冗談をいう中心人物サー・アーチー・マクサーカズム抜きで芝居を敢行したのである。
その結果、ヒロインのシャーロッテは、求婚者を必要としているご婦人というよりは、ひどいヒステリーをおこしている精神異常者のようにみえたという。
例えばこんなふうである。
シャーロッテ:おほほほほ
サー・アーチー:・・・・・・
シャーロッテ:あのう、失礼ですけど、アーチーさん。つい笑ってしまって・・・ほんとにおかしいんですもの、おっほほほほ
サー・アーチー:・・・・・・
シャーロッテ:おほほほほ!一体どうしてそんなことがおわかりになりますの?
サー・アーチー:・・・・・・
シャーロッテ:おほほほほ。
第二幕では、登場人物全員が、全く何の理由なしにどっと笑う秀逸な場面があった。
モーデカイが、2度も虚空を抱擁し、キャラハンが世界初の相手のいない決闘をやりもした。
そこへシャーロッテが登場して、「まあ、一体何をなさっているんです?」と台本どおりのセリフをはいた。
さらに1787年には、ハムレットのいない「ハムレット」劇が行われた。
これまでちょい役しかやったことがなかった経験不足の役者、キューピット氏がハムレット役を演じることになっていたのだが、初日の観客の反応がよくなかったため、すっかり自信を失い、気分がわるくなってしまい、支配人が舞台にあがって、ハムレットのいない「ハムレット」で今夜は我慢していただきたいと述べた。
サー・ウォルター・スコットの話によると、この二日目のほうが初日より観客の受けがよく、それどころか主役が出なかったせいで、「ハムレット」劇そのものがよりいっそう傑作になったと思った観客も多かったそうだ。
このように、笑えて勇気の出る本「おかしなおかしな大記録」S・パイル著 中村保男訳
文春文庫をオススメします
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