先日、国連で日本代表が、慰安婦問題の証拠がないといった趣旨の発言をしたというニュースが流れた。
 これについて、ネット上で、韓国人を名のる人が、「証拠がなかったとしても事実であり、日本は慰安婦問題がなかったという証拠をだすべきだ」とする意見を読んだ。
 さて、慰安婦問題について、証拠を提出すべき責任を負っているのは、日本だろうか、それとも韓国だろうか。

 一般に、法律上問題の対象となっている真否不明の事実について、証拠を提出すべき責任のことを証明責任という。
 証明責任をもつ方の側が、裁判官、法廷に対し、その問題となっている事実があったということを納得させるに足りるだけの証拠を提出しなければ、裁判で勝つことはできない。
 これに対して、証明責任を持たない側は、特に何をしなくても、相手が何もしなければ勝つし、相手が証明に失敗すれば、勝てる。証拠の信用性を失わせれば、やはり勝てる。

 では、慰安婦問題については、日本と韓国、どちらが証明責任を負うか。

 慰安婦問題は、戦時中、日本にまだ併合されていたころの「朝鮮」での問題であると理解している。とすると、日本「国内」の問題であるから、日本法が適用されるべきと考える。

 さらに、大韓民国政府からの請求であるが、国としての韓国政府の戦後処理は条約が締結されていて、終了している。その他の請求権は国としては持っていない。慰安婦問題は、個々の元慰安婦の有する民事上の損害賠償請求権を、いわば、代理行使していると見られる。とすると、彼女たちを、「性奴隷」の状態にしたという「不法行為」に基づく損害賠償請求権(民法709条)を行使していると見られる。

 といっても、準用だ。もし、同条の直接適用だったら、時効消滅しているはずだからだ。外国になってしまったので、請求がむずかしいから、請求可能ということにしておこう。人道的例外措置として。

 
 さて、もし道を歩いていて、自動車にひかれたとする。あなたは被害者側だ。その場合証明責任は車を運転していた加害者側だろうか、被害者たるあなただろうか。

 法律を知らない人なら、「かわいそうだから」加害者側だと思うかもしれない。

 しかし、実際は被害者側である。被害者は、誰が加害者か、車のナンバーから、被害の程度(車にひかれたから足が折れた、脊椎が損傷した)といったことを全て証明しなければならない。加害行為があったことを証明しなければならない。

 だから、お得な情報として言っておくと、万が一、車の事故に巻き込まれたような場合、警察への通報(証言してくれる人として最適)、相手の連絡先をきく(嘘を言っている場合にそなえて身分証明書をみせてもらい、免許証の番号をひかえる)などといったことをせずに逃げてしまわない方がいい。

 そして、こういった交通事故は不法行為(709条)である。

 とすると、おわかりだろう。

 証明責任を持つのは、被害者側である韓国政府である。「性奴隷」であったという事実があったことを証明しなければならない。

 韓国政府は「証拠」として、元慰安婦の証言を提出している。
 
 しかし証言の内容を聞く限り、整合性がない。戦争があった時期と「売春婦」として働いていた時期と一致しなかったり、前の証言とまったく違うことを言っていたりする。
 また、証言にあたり、誰かから金銭的援助を得ているとすれば、それは証言の信用性を大きく損なうことになるだろう。その点の調査も必要である。

 また、韓国政府が「証拠文書」として提出してきた日本語の新聞の切り抜きは、相当額を支払う売春婦の募集広告であって、「強制性」がなかったことを逆に証明しているシロモノである。これも「証明」には程遠い。

 今のところ、韓国政府は証明責任を果たしていないといわざるをえない。

 韓国政府による証明責任を果たしていない現段階で、慰安婦に対する「謝罪と賠償」を行ってきた日本政府の政策は、全く間違っているとしかいいようがない。

 国民の貴重な税金をありもしない「被害」に注ぎ込むとは、日本国民に対する裏切りであり、許しがたい。

 少なくとも、韓国政府が、「慰安婦」の被害を証明するまで、損害賠償を払うことをやめるべきであり、すでに払った分の返還も求めるべきである。

 もちろん、韓国政府が「慰安婦」の被害を十分に証明できたら返す。
 その「証拠」は、公開し、国民の理解を求めて「証明するに足る」と認められる場合である。

 ま、証明できたらだけどね(笑)