金正恩の異母兄弟にあたる金正男氏が、「東京ディズニーランドに行きたい」と日本に密入国してきた事件があった。2001年5月のことである。
成田空港かなんかでつかまって、送り返されたのだが、その時思った。
金一族が、いくらお金を持っているのか知らないけど、好きなように東京ディズニーランドにもいけないのでは、持っていてもしょうがなくないか?
だって、北朝鮮で100万円(相当のお金)持っているより、日本で10万円持っている方がどう考えてよい。
日本では、10回・・・ま、中でもお金使うから、5,6回ディズニーランドにいけるし、ディズニーランドをより楽しむみたいな本もたくさん出ている。レストランでは王様のようにおもてなししてくれるし、ディズニーランド以外でも楽しめる施設は山とある。
北朝鮮では、ディズニーランドもないし、日本で当たり前に低価格もしくは無料のサービスを受けるためにはワイロがいる。これがいくらかかるのか見当もつかない。100万円あっても、日本の5万円分楽しめるかどうか・・・。
金氏は陰では贅沢をしているようだが(日本から寿司職人を呼んだりして)、マスコミに出るときは必ず地味な格好で、「質素なフリ」をしている。これは「人民を思いやるフリ」「気さくなフリ」と革命を防ぐために、北朝鮮に限らず、共産主義諸国では必要不可欠なもののようだ。
思うのだが、お金を持つことの楽しみの半分以上は、それをみせびらかす喜びだろう。
また、贅沢をすれば、贅沢を支えるための職人などの仕事が生まれ、国の経済効果もプラスになる。
しかし、贅沢をしていることを、ひたすら隠していると、そういった産業も生まれにくい。
フランスの絶対王政下や、ロシアのツァーリの帝政の下ではそうやって産業が栄えた。
だが、それには贅沢を見せびらかしあう貴族階層が絶対必要だ。
たった一家族が考えられないほどの富を持ち、しかも、それを隠して、他の国民はおいてけぼりで、飢えている状況・・・経済効果はない!
たったひとりだけリッチになって、後は無視・・・、国全体が貧しくなるだけである。
いくらお金を刷っても、北朝鮮のお金など、おもちゃ同然である。
「昔、ギリシャにミダスという名の王がいた。
彼は神々になんでも頼みを聞いてやると言われて、触るものを全て金にする能力が欲しいと言った。
彼の願いは聞き届けられ、触るものが全て金になった。」
金、お金、、、しかし、ちゃんと使えるお店や社会システムなくして、何の価値があろうか。
しょせんお金は、モノを交換するための道具である。どんな大金も人間の命以上の価値はない。
日本の社会はそれをちゃんと分かっている。これが日本の社会でもっとも誇るべき点だと思う。3.11の被害は悲惨だったが、警察も自衛隊も人命を常に最優先にした。
意に沿わない人々を全滅させ,強制収容所に送り込むことで、人の財産を収奪している北朝鮮は、まさに逆であろう。
お金という「モノ」だけ大切にしても、お金もモノもかげで働いている人によって価値が生まれるのだから、人を大切にしなければ、価値が下がるばかりである。
思うに、金銭欲も食欲と同様に、ある程度以上は危険になるのではないか。食欲はもちろん必要であるが、中毒性があり、とてつもないカロリー摂取が習慣になると、動くこともできなくなり、家からクレーンで運び出される羽目になる。いくら「お金」を集めても、社会全体の価値が下がれば、人生ゲームのお金とたいしてかわらなくなる。「経済的自由」がなければ、健全な市場も生まれず、お金の価値もなくなる。
独裁者は、金銭欲、権力欲の重症の中毒、今風にいえば依存症であって、決して幸せではない。黄金に囲まれて、孤独に過ごす、ミダス王を思わせる。
伝説によれば、賢明だったミダス王は可愛がっていた孫娘にうっかりとさわってしまい、金髪のつややかな髪や、バラ色の頬が、鈍い光をはなつ黄金に変わってしまったのを見て、自分の愚かさをさとり、神々に頼んで、黄金に変える能力を取り去ってもらったという。
お隣のミダス王は、・・・・はたして気づく日が来るのだろうか。
来るといいけど・・・・。