徒然日記 ~2023/09/26~ | ~ Literacy Bar ~

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ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

一身上の都合により、リアルで結構バタついている今日この頃なので、今週の更新は短め&来週の更新は休むかも知れません。予め御了承下さい。これから年末を見据えて忙しくなる時期に加えて、来季は『スパイファミリー2期』『ウマ娘3期』『オトナプリキュア』『範馬刃牙2期』と続編だけでも期待値の高い作品が多くて、色々と時間が持っていかれそう。まぁ、これは嬉しい悲鳴ですけどね。

今回の話題は2つ。まずは大河ドラマの感想から。

 

 

 

 

本多忠勝「真田は信用なりませぬ!」

 

 

視聴者「うん、知ってる!」

 

稲を嫁にやるのが不安で駄々を捏ねる平八郎さん。真田の信用のなさに関しては大河ドラマ視聴者周知の事実ですが、この婚姻に納得していないのは真田家唯一の良心にして、稲を娶る当人のお兄ちゃんも同様でしょう。本人の与り知らないところで『寝首を掻く掻かない』という話が進んでいるお兄ちゃん、ホンマ可哀想。またしても何も知らない源三郎信幸さん。『真田丸』では嫁を貰う側の悲喜こもごもが描かれていましたが、普通に考えると真田に娘をやる側のほうが色々とモメるのは理の当然ですね。本作の関東周辺のトラブル、だいたい真田が悪く描かれていて草(褒め言葉)

さて、今回は戦国の夫婦像を於愛の視点で描いた内容。望月千代女が馬場信房の娘という設定には驚いた(これ、絶対に千代女も彦と一緒に伏見城でアレするやん)けど、於愛の方が未だに亡夫を慕っているというのもなかなかの衝撃でした。西郡局には『本当は触れられただけで吐きそう』とカムアウトされたうえ、お万の方には『実家再興のヒモ』と認識されていた家康さん……これをイケメン松潤でやるのが本作のツボ。これは別に女性陣が悪いのではなく、そもそも、当時の婚姻における恋愛感情の優先度は極めて低いワケで、戦国の世の然るべき身分の人間にとって結婚と就職はほぼ軌を一にしていたことを如実に描いたといえるでしょう。好きでもない仕事でも生きるためには就職しなければならないように、好きでもない相手とも生きるためには結婚しなければならない。実際、今回描かれただけでも家康にとっての旭姫は人質であり、北条に嫁いだおふうは外交官であり、今また真田に輿入れさせられようとしている稲姫も同様の役割を担うことが期待されているワケです。それが当時は当然であっただけのこと。

ただ、人間である以上、思いを寄せた相手と添い遂げたいというのも自然な感情。本作でも描かれているように相思相愛設定であった瀬名のことを未だに引きずる家康、主命に背いてまでも千代女を守ろうとする彦、自分は相手を騙していただけの偽りの関係という虚言で彦を守ろうとする千代女の思いも尊い。そして、自らの家康に対する感情が偽りの愛と自覚している於愛の方が真に思い合っている彦と千代女に助け船を出し、同じく相思相愛の番を守るためにノブレス・オブリージュに目覚めた稲姫が真田への輿入れを了承する。更に当初は生活のため&作り笑顔で日々を過ごしてきた於愛の方も、彦と千代女を寿ぐ家康に更なる信頼(≠愛情)を深める。別に主人公カップルが常に相思相愛である必要はない。それを守る側として描くことで現代の価値観や視聴者の共感を得ることが出来るし、往古の結婚の形の中にも幸せの形を見出すことは出来る。それを証明したのは今週の大きな収穫といえるでしょう。

尤も、これだけ『昔の結婚の価値観も一概に否定すべきモンじゃないよ』的なことを描いておきながら、最後の最後で、

 

茶々「だぁ~~~ん!」

 

政略&欲望丸出し結婚は絶対にアカンと一目で判るカップリングを投入するのが本作のエゲツナサ。これは『真田丸』よりも人間性がブッ壊れてそうな茶々で草生えますわ。単品としては佳作と評してよかった今回ですが、残り話数を考えると、

 

与力「だが、今はもうそんないい話を書いている場合じゃないだろう、古沢良太!」

 

という焦燥を覚えるのも確かです。これではどう考えても12月には大坂の陣に間に合わん……! あと、オチで茶々を出すなら北川景子のクレジットだけ本人登場~次回予告の間に単品でドーンと出す『スプリガン』方式のほうがインパクトがあったと思う。多分、歴戦の大河ドラマフリークは北川茶々よりも千代女が馬場信房の娘であったことと教来石という地名のほうにザワッとなったのではないでしょうか。

 

次の話題はこれ。

 

 

昨年公開された新海誠監督の最新作。前作の『天気の子』が当年の私的ラジー賞にノミネートされかかった経緯があるので、公開時の映画館に足を運ばず、先日解禁されたレンタルでもセット価格の頭数要員としてセレクトしたという事前の期待値がゼロというかマイナスの域に達していた本作ですが、蓋を開けたらメチャクチャ面白かったです。現時点で下半期ベストの最有力候補。『大雪海のカイナ』? 知るか! ラストバトルを看板の解読でなく、樹皮削りの最大火力で片づける作品に用はない! あそこはどう考えても看板じいの教えが逆転の一手になるべきシチュエーションであったろうが! あ、でも、劇場版のCMで流れる曲は凄くよさげなのでサントラは期待しています。

それはさて置き、本作は『天気の子』で感じた違和感・不快感がほぼほぼ解消された作劇であったのが高評価の要因でしょうか。ほら、前作って主人公の追い込み方が雑だったやん? 主人公を社会的に孤立させるために15のガキンチョにチャカをブッ放させて、それを追う警察組織を恰も悪役であるかのように描いたやん? 別にフィクションだから何をさせるのも自由だけど、主人公の動機づけの上手い・下手は別個で評価しないとね。

その点で本作は主人公が保護者の制止を振り切って相棒と二人(というか一人と一脚)で日本全国を旅しなければならない動機づけがキチンと提示されていたのがベネ。パッと思いつくだけでも、

 

・主人公は嘗ての大震災の被災者

・地震を呼ぶミミズは彼女にしか見えない

・母親の形見の椅子が猫を追って出奔したからついていかないワケにはいかない

 

特に3つ目は本編を見ていない方には何を言っているのか判らねーと思うけど、これが開始15分くらいでキチンと提示されたから、主人公が今、何をしたいのか&何を最優先に動くべきなのかが視聴者にも判るのよ。冒頭部分でズバッと行動原理を提示し得たからこそ、多少の無理や矛盾も気にせず、終盤まで一気に駆け抜けることが出来たのではないでしょうか。まぁ、流石に終盤はイキオイに任せて置いてけぼりにしてきた叔母との関係や草太の友人との絡みの消化でモタついた感はありましたけど、起承転結を採点したら100点・100点・100点・60点=90点くらいの配分になるので、全体のクオリティで考えると充分に許容範囲と言えます。サービスエリアでヒロインへの感情を吐露する際に見せる叔母さんの顔の皺描写、狂おしくすこ。特に前半~中盤にかけてのストーリーはシンプルながらも濃密な描写で、これは1クール13話のアニメとしても充分に成立し得るんじゃあないかとも思いました。

ヴィジュアル的にも東京編のミミズのエグさを筆頭に、日本各地の情景などを丁寧に拾う映像としてのクオリティの高さは一見の価値あり。フェリーにカブに新幹線に高速道路にソフトクリーム落としなど、ひょっとしたら『水曜どうでしょう』リスペクトではないかと思える構成も個人的にツボ。また、東京編でヒロインが聖橋から食べかけのレモンではなく、自らの肉体を投げ出すシーンは、さだまさしの『檸檬』を想起してしまいました。そして、クライマックス後の謎解きシーンは『火の鳥・異形編』に酷似。結構判る人だけに判るネタが詰め込まれているのもオススメ出来る理由です。新海作品に拒否反応があったワイでも楽しめたので、是非見て。