徒然日記 ~2020/05/18~ | ~ Literacy Bar ~

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ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
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※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

「麒麟がくる」と「エール」の放送を一時休止へ 新型コロナ

 

 

与力「これは極論だがね……極論っていうのはどうだろう? 極論に極論を! そりゃあ極論って訳にはいかない! 極論も極論だ! だが、極論を極論して『極論して下さい!』って極論したら、案外極論してくれるんじゃあないかなぁ?(白目)

 

事前に覚悟していたとはいえ、いざ現実となると何時もの極論ロジックにバグが発生するレベルの衝撃を受けてしまいました。ショックで何も思いつかない。まぁ、先週の記事で述べたように基本的に製作陣の判断を尊重する方向で、最悪の事態を想定しつつ気楽に構えると決めているので、放送枠の穴埋めに『天地人』『GO』『軍師官兵衛』『花燃ゆ』『西郷どん』を使わなければ、他に文句はありません。個人的には『八重の桜』第一部の再放送で視聴者のハセヒロロスを軽減するのも一つの手段かと思います。『坂の上の雲』でモックンロスに備えるのもアリ。今週の話題は4つ。

 

 

1.『麒麟がくる』『越前へ』感想(ネタバレ有)

 

『朝倉義景……ユースケ・サンタマリア』

 

想像以上に字の『圧』が凄かったOPのテロップ。戦国大河でカタカナ表記されるのは宣教師枠と相場が決まっているので、古豪・朝倉家当主の名の横に並ぶと新鮮な印象を受けました。ユースケさんは字数も多いので、本名の中山裕介名義になるかもと思いきや、フォントサイズを下げての一行ブチ抜き表記。テロップだけでもお腹一杯になるオイシイ存在です。演技に関してはどう見てもサンタマリアです、本当にありがとうございましたというしかありませんが、伊呂波太夫と腹芸的な会話をしていたので、もうちょい掘り下げられると期待。『信長の忍び』を実写化したら本作の義景になりそう。十兵衛たちが帰ったあとの謎の床拭き指南とか地味にキャラ立てしてくるのも嫌いじゃありません。『越前編』開幕とのダブルミーニングを狙って『新しい生活様式』をブチ込んで来るNHKさん、マジ公共放送の鑑。

 

一方、越前に逃れてきた十兵衛一行は、明智庄を落ち延びる際の『父は城の最期を見届けるのだ、と……』という左馬助のお前もそうなるんやで(涙)的な終盤の布石配置や、お駒ちゃんを助けたビッグハンドマンの正体は十兵衛パッパなどの序盤の伏線回収がメイン。まぁ、ビッグハンドマンの正体はネオ・ロアノーク並みにミエミエでしたので、その辺に意外性を求めるのは野暮でしょうが、十兵衛パッパに助けられた駒ちゃんがいなかったら、逃避行中の十兵衛が伊呂波太夫の申し出を信頼しきれたか判らず、主人公パーティーは無事に越前に逃れられなかったかも知れないので、一応の意味はあったのかな。でも、伊呂波太夫の申し出を信用出来るか否かで決断を強いられるシーンを強調するには不充分。そこに至るまでの間で何度か身近な人間に裏切られて、もう誰も信用出来ないところまで主人公パーティーを追い込んで欲しかった。ドSっていうな。

それでも、逃避行の途中で『食べ物を探してくる』という伊呂波太夫を単独行動させないよう左馬助をつける十兵衛の用心深さの描写はよかった。口には『お供せよ』としかいいませんが、実質『監視しろ』ということですよね。十兵衛君ぐう有能。尤も、職場の人間関係が苦手なのは相変わらずなのか、好意で金銭を用立ててくれるといった義景の申し出を断ったばかりに映像研の部室みたいなあばら屋を提供されるボーンヘッド。あのシーンも道三から受けた『金銭がなければ身体で返せ』という仕打ち教育を説明して『旧主・道三の教えもありますので、牢人の身に過分な御配慮は御無用。後日、恩義を越える功績を挙げた時に改めて賜りとう存じます』とでもいえばよかったのになぁ。地味に菊丸の伝言を駒ちゃんに話すのも忘れているし。菊丸がリアルで何を仕出かしたっていうんや……(すっとぼけ

 

そして、モックンロスが心配された本作ですが、そっち方面は尾張パートの奮戦が光りました。信勝が毒を持ち込んだと承知のうえで、

 

織田信長「弟の! ちょっといいとこ見てみたい! それ、イッキ! イッキ! イッキ! イッキ!」

 

とアルハラコールで返り討ちにするノブさんマジパネェ。『お前を殺す気は失せた』といったな。あれは嘘だ。或いは『殺す気は失せたが、自分で持ち込んだ毒で勝手に死ぬのはセーフ』理論なのでしょうか。何れにせよ、弟に対する殺意を滔々と語るシーンのサイコパス感が凄まじい。あれ、キチンと本人に説明してからでないと殺すのが勿体ないのでしょうな。吉良吉影とかもそんな感じですので。

しかし、それ以上に恐ろしかったのが信勝暗殺の間、外で待機している帰蝶さん。あの表情は覚悟ガンギマリ過ぎで怖い。これはもう『はーちゃん』でも『帰蝶さん』でもない、帰蝶様ですわ(朱様風)。モックン道三が残したキャラクターの爪痕が作中でキチンと受け継がれているは嬉しいですが、予告で久々に登場した爆弾正のシーンでホッとしてしまったのは色々とマズいのではないでしょうか。

 

 

2.『太平記』第七話『悲恋』簡易感想(ネタバレ有)

 

足利高氏「其方を引き取る、そのつもりでいた( ー`дー´)キリッ

藤夜叉「では、どうして北条の姫君を?」

足利高氏「」

 

露骨に動揺する高氏君サイテー。

 

判官殿の屋敷から逃げ出す藤夜叉を救いに颯爽と現れた白馬のメンヘラ王子様高氏君。藤夜叉を御姫様抱っこしつつ、馬を疾走させるシーン自体は本当にカッコいいのですが、事が認知事案に発展しそうになるや、言葉を濁す高氏君マジヘタレの極み。まぁ、現時点で藤夜叉を手元に置くのは単純に登子との結婚の障害となるに留まらず、判官殿のマッチポンプと守時の誠意で何とか晴れた帝の謀叛への共謀罪を穿り返されない危険な行為なので、政治的には避けるべき事態であるのは間違いありませんが、高氏君がそこまで考えているかは些か疑問でもあります。ちなみに藤夜叉との間に生まれた直冬に目がいきがちですが、これとほぼ同時期に高氏が他の女に孕ませた&鎌倉に叛乱を起こした際に逃げ損ねて斬られた竹若さんのことも思い出してあげて下さい。ホントサイテー。最終的にパパ氏の説得が奏功して踏みとどまったように見えますが、基本的に高氏は最後に会った人間の意見に靡くので、このあとに判官殿が『やぁやぁ高氏殿』と押しかけてきたら、事態は変わっていたかも知れません。

ストーリー面では特に大きな動きなし。高氏の青春の苦悩を掘り下げる心情メインの回なので、感想も短めです。ストーリー以外では萩原義貞は今回で見納めになります。のちに登場する根津甚八さん演ずる朴訥で誠実な従来のイメージにピッタリの義貞も魅力的でしたが、日野俊基やパパ氏と共謀して鎌倉をひっくり返そうと目論んでいる腹黒陰謀家としての新田義貞も最後まで見てみたかったな。『麒麟がくる』の帰蝶様もですが、演じる俳優が変わるとキャラクター設定も微妙に変更するものなのでしょうか。

あとはメインキャストの滑舌のよさが本作の隠れた魅力。

 

足利貞氏「わざわざのお運び、珍しく嬉しくはべる

 

とか相当日常離れした台詞なのに『言わされている感』が全くないのが凄い。こういう基本的なところを大事にして欲しいですね。

 

 

3.『転・コウ・生』感想(ネタバレ有)

 

柴咲コウムロツヨシ「「『入れ替わってる~!』……って奴?」」

 

恐らくはアフターコロナの日本で企画から放送に至る全ての過程を完遂した最初のドラマ作品の一つ。その一点においても存在価値のある作品といえるでしょう。本作がアフターコロナにおけるドラマ形態の雛型となるか否かは判りませんが、諸々の制約が課せられる現今の情勢下で、斯くもチャレンジ精神に溢れた企画を完遂した制作&キャスト一同に感謝です。一生さんの口から『殿!』の台詞が聞けたのは井戸の底の民には御褒美であったのではないでしょうか。単純に『おんな城主直虎』のスピンオフ(?)としても楽しめました。古典的なボディスワップを主題にしつつも、全員の人格が戻ることなく、入れ替わったままで終わるオチは、アフターコロナ下の世界の変容と不可逆性を投影したものでしょう。流石は安易なオチで問題から逃げない森下佳子脚本。

一方で『君の名は』や『民王』でも明らかなように、ボディスワップは入れ替わった人物が普段と違うことをするギャップ&他人に入れ替わりを悟られないように必死になるスリルが肝なので、物理的制約がある&時間的余裕がないのは百も承知のうえで、その辺をもうちょい練り込んで欲しかった。ムロさんの動画生配信の件とかね。ボディスワップでそれを掘り下げないのは食パン銜えた遅刻寸前の女の子が曲がり角で転校生と衝突しないようなものですので。まぁ、後者は兎も角、前者は、

 

柴咲コウ(ムロツヨシ)「全裸で鼻ホジった動画、自撮りして拡散するよ!」

 

の件で満足するべきかなぁ。個人的には肩をはだけなくていいんで、指をもうちょい刺し込んで欲しかった。先っちょだけ! 先っちょだけでいいから! 作品のクオリティ以外の点では、

 

高橋一生(柴咲コウ)「ウイルスは人間の都合では動いてくれないからなぁ。こっちが臨機応変にやっていくしかないんだよねぇ。でも、まぁ、そうやってくうちに今は想像出来なくても、新たな活路がこれから見出せるかも知れない。自分たちの意識も社会の在り方も驚く程変わっていくかも知れない。不安に駆られるだけっていうのはよくないと思うけど」

柴咲コウ(高橋一生)「希望は捨てない。でも、この前提でやっていけるように自分たち人間たちが変わっていこうってことですかねぇ」

 

の遣り取りも必ずしも全面的に賛同出来なかったかも。現状はさて置き、将来的な展望も含めると私はそこまでウイルスに謙虚になれないのよねぇ。『覚えていろ、コロナウイルスども……いつかワクチンや特効薬で他の感冒と同じポジションに捻じ伏せてやるからな!』と毎月研究機関への寄付で復讐の牙を研いでいる次第。万物の霊長を舐めるな(他人の褌)パニック映画では科学を過信して真っ先に退場するタイプかも知れませんが、現実はそうではないと信じたい。

 

 

4.『決算! 忠臣蔵』感想(ネタバレ有)

 

貝賀弥左衛門「大体あのオッサン、あ【ピー!】大事な【ピー!】にハメて【ピー!】さしとんえん! ソロバンとソロバンでな! ワシの【ピー!】

早川惣介「……病気やないか」

 

台詞に【ピー!】が入る空前にして絶後と思われる『忠臣蔵』作品。弥左衛門の口から出まかせオンパレードとはいえ、内蔵助がソロバンとソロバンで何をハメていたのか気になって夜もグッスリ眠れねー。

さて、大石が実際に提出した収支決算書をベースに、討ち入りの実情を予算的側面から赤裸々に掘り下げた本作は、吉良の実家である上杉家のお膝元ということで基本的にアンチ赤穂浪士の越後民(個人の感想です)にとって、非常に好印象でした。堀部安兵衛? 奴は上杉家に叛旗を翻した揚北衆の一員(暴論)。まぁ、新発田重家の叛乱は元を糺すと景勝の依怙贔屓な人事裁定が招いたことは認めざるを得ませんが。安田顕元とかいう戦国のヤスケンには本当にスマンことをした。まぁ、それは(都合よく)措くとしても『天地人』繋がりというか、妻夫木君演じるコスパ度外視のポンコツ軍師菅谷半之丞の存在感が半端なかった。いい意味で『天地人』での偽善者軍師かねたんのリベンジを果たしたと思います。コイツが帷子やら木槌やら揃いのコスチュームやら、何か策を思いつく度に内蔵助の脳内残金がチャリーンチャリーンと吹っ飛んでいくのよね。討ち入り用の松明を買う金銭にも事欠く状況なのに『吉良方の動きを飛び道具で抑え込む!』という菅谷の献策に湧く一同を見る内蔵助のリアクションほんとすこ。

 

間瀬久太夫「他におらんか、弓が得意な者は?」

早水藤左衛門「はい、得意です!」

大石内蔵助「おう早水、お前弓持ってきとるんか?」

早水藤左衛門「いえ!(満面の笑み)

大石内蔵助「チッ」

 

露骨な舌打ちはやめろぉ!

 

何だかんだで泰平の世に五十人近くの同志を死地に伴うことに成功した内蔵助の器量は評価していますが、その内心は本作に近かったのではないかと思います。物語のオチも華々しい討ち入りではなく、結構直前に入った蕎麦屋の支払いでモメるしょうもないシーンが逆に納得出来ました。全体のクオリティは別として、〆のシーンに100%納得出来る映画って意外と少ないと思うの。

ただ、全体的な演出やカメラワークは平凡。キャラクターが順番に前に出て喋るという学生演劇レベルのシーンは何とかして欲しかった。歌舞伎の割り台詞をそのまんま映画に引き継ぐのは余りにも芸がなさ過ぎる。カット割りで自然に見せるのがプロの仕事でしょう。あとは悪い意味で岡村さんの存在感がない。折角、勘定方にスポットを当てるのでしたら、もっと内蔵助とガップリ四ツで組ませて欲しかったな。キャスティングでは石原さとみさんのドS系瑤泉院がクッソ嵌り役でした。是非、大石の代わりに罵って欲しい。