『軍師官兵衛』第4回『新しき門出』感想(ネタバレ有) | ~ Literacy Bar ~

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<軍師官兵衛>ナレーション改善へ NHK「聞き取りやすく工夫」 (Yahoo! ニュース)


中国四千年


毎年恒例の大河批判&NHKの対応ですが、今年のは昨年の『会津弁が聞き取りにくい』というクレームを上回る完全なる言い掛かりでした。私は『太平記』を見て以来、藤村志保さんのファンです。緒形さんとの夫婦役は何とも味わい深かった(生まれる前ですが『太閤記』での共演も見たかったな)。共に大河常連の松坂慶子さんが『華』とすれば、藤村さんは『雅』。そういう私なので公平な評価は難しいという自覚はあります。しかし、それにしたって、このクレームはねーよ。確かに本編の雰囲気にそぐわないナレーションだとは思いますが、作品と藤村さんのナレーションのどちらが大河ドラマ本来の姿に相応しいかといえば、断然後者ですわなぁ。感想記事&返信コメントでも書いたように藤村さんのナレーションは緊迫した場面ではバッチリはまっているんですよ。それ以外の牧歌的な雰囲気でも乱用するから違和感があるのです。大体、ナレーションを更迭すれば本作の問題点は全部解決するかといえば全然そんなことはないのは確定的に明らか。それ以前の欠点が多過ぎるのに、よりにもよってナレーションが番組改善の鍵を握っているとか、クレームを入れた人も改善を工夫すると答えた人もどちらもおかしい。先日、某コンビニ系列の世界三大珍味の一つを目玉商品にした弁当に『飼育方法が残酷なので発売中止せよ』 というクレームが入った&クレーム通りに発売を見合わせた事件がありましたが、このナレーション問題も基幹は同じといえるでしょう。脊髄反射で物事を考える輩が多過ぎます。

本作への『批判のための批判』に対する批判から入る今回の感想ですが、しかし、本編の出来が悪いのも事実なのが悲しい。折角、フォローしたのに本編がアレではこっちの立場がねーだろ。今回のポイントは5つ。


1.アバンタイトル


いらない場面感満載でした。


今回、生涯の恋女房との結婚なので、死んだ女の関係にケリをつけるためだけのシーンとしか思えませんでした。こんなアバンで決着がつく程度の関係なんか描かんでええわ。おたつ関係の場面は第一話から全部スキップしても問題なかったです。


2.尾張パート


アバンタイトルの次にいらない場面が多かったので、順番無視して初っ端で処理しちゃいましょう。信長の稲葉山城奪取がメインでしたが、込められた情報はゼロに等しい。マジで尾張パートは三英傑が登場する大河のどれか(除く『GO』)を見ていれば、スキップしても余裕で脳内補完できます。天下布武宣言の場面も織田家の連中が皆で『WoWWoW WoWWoW』と叫んでいるだけ。『H jungle』か。ついでにいえば台詞回しも落第点。


NOVU「門をブっ壊せー!」

NOU「『あの世』で父も喜んでいます」


せめて『叩き壊せ』とかいえんのか。NOUもNOUで『あの世』とかつけんでいいから。道三が死んでいることは視聴者も判っているから。言葉のセンスは『天地人』以下かも知れん。小一郎を演じるのは嘉島典俊さん。『風林火山』の典厩と同じく、№2の弟キャラですが、本編では『兄者!』くらいしか台詞なし。扱い悪いな。あとはおーまーえーはーおーにーかーがなかったのが逆に淋しい。@3~4回くらいやればゴリ押しでも流行ったんじゃね?


3.恭兵パパン


義秋から『JYORAKUしたいno!』という手紙を貰って上機嫌の鶴ちゃんでしたが、実は恭兵パパンにも同様の手紙が届いていました。ここは今朝の新聞のあらすじで読んだ時には『おぉ、面白くなりそうだ!』と期待していたんですよ。主君と家臣の微妙な力関係が描かれそうな予感がしました。


でも、ダメだったー! 

ちょっといいトコまでいったけどやっぱりダメだったー!


何がダメかといえば恭兵パパンの対応。確かに拙劣に手紙の件を隠すのはマズイ。御歴々の前で堂々と披露するのも一つの手でしょう。でも、私にも同じ手紙が届いていました(テヘペロ)で終わらせちゃダメ。鶴ちゃんの面目丸潰れです。そこですかさず、


黒田職隆「義秋公は播磨の真の主が誰であるかも御存知ない御方です。そのような情勢に疎い御方を殿が奉じる義理も道理もございません。今後、御家中の方々の元には某同様、義秋公の手紙が届くかも知れませんが、それらは全て無視するべしという命令を下すが賢明かと存じます」


とかいって、義秋sageて鶴ちゃんageて&自分の他にも手紙届いている奴がいるんじゃね? と猜疑の目を分散するように仕向けなアカンよ。それができないのであれば、早いうちに鶴ちゃんとサシで話す機会を設けて手紙を差し出す(勿論、封は切っちゃダメだよ)くらいは考えないと。それが何でしょうか。


黒田職隆「見てくれ! 義秋公からの手紙が私の元にも届いてしまった。どーしよー?」(CV:納谷悟朗)


頼り甲斐がなさ過ぎる&発言が不用意過ぎる。主人公が出仕する際に『周囲に気を配って奉公に励め』と釘を刺していた恭兵パパンですが、実はパパンが一番気配りができていなかったというオチ。播磨における黒田家のポジションを描く絶好の場面にも拘わらず、それが全然描けていなかったのが残念過ぎる。


4.鶴ちゃん


小寺政職「官兵衛は何時、家督を継いでも恥ずかしくない立派な跡取りじゃ。羨ましいのぉ」


ここで止めておけば凄くいい場面になったと思います、マジで。本作を見ていて初めて『おぉ!』となりました。でも、鶴ちゃんがペチャクチャペチャクチャと喋り過ぎたので興醒め。上記の台詞だけで主君の猜疑心を察してこそ、恭兵パパンの老獪さ&主人公の聡明さが描けるんじゃないのか。蛇足そのものの台詞を垂れ流したせいで視聴者にも事態の全てが丸判り。うう、鶴ちゃんが惜しいぞ。


5.光さん


結婚前の出会いの場面は全部いらんかったよな。


あれ、何で入れたの? 何か意味があるの? 確かにクロカンと正室の仲睦まじさは有名ですが、別に恋愛結婚にする必然性ないでしょ。主君の猜疑心を解消するために父の家督を継ぎ、主君の勧める縁談を受け入れる。それでこそ、播磨における黒田家のポジショ【略】。恋愛パートが不要とまではいいませんが、政局優先で描くのは当然だよね。結局さー、製作者が結婚したあとで愛情を育む当時の夫婦像を描く自信がないから、恋愛結婚にしちゃうんじゃね?

百歩譲って恋愛結婚アリだとしても、主人公と身体が触れただけでフォーリン・ラヴとかチョロ過ぎるだろ。一昨年なんて初めての出会いが野糞だぜ。あれに比べたらハードルゆる過ぎてアクビが出ちゃうよ。光さんは大河史上最高のチョロイン。これで料理が出来なければ完璧。パパンはパパンで、


黒田職隆「おまえに異存がなければ、まぁ、よかろう」


いや、異存があっても結婚させろよ。


主人公は主人公で新妻相手に死んだ恋人の話とかするし。何なの、この主人公? 人の心が判っていないんじゃねーの? これはもう、


「新婚初夜にそのようなことを話されるとは……ひょっとして、官兵衛さまは童t」

官兵衛「どどどど、童【禁則事項です】ちゃうわ!」


こういうギャグパートの流れ以外でやっちゃいかんよな。


あと、次回予告から漂う『永遠の0』感が半端ない。今、オカジュンに必ず戻るとか言わせるのは色々ときわどいと思うんだ。


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